pretty girl(ken)


ー河南 sideー

お疲れ様でした。

その掛け声でツアーが終わった。

だけど私にはまだ機材を積んで
東京へ帰るという役目がある。

Kenちゃんとは東京までまた離ればなれ。

寂しい・・・

けどやり抜くって決めてニッカに戻った。

誰に後ろ指を刺されても私のスタイル。

これが私だから。

自分の仕事自体を否定してしまったようで
自己嫌悪になる。

だけどKenちゃんが好きだって言ってくれたから
私の全部が好きだって言ってくれたから
私は頑張れる。

Kenちゃんがいるから私がいられる。

機材を運ぶつもりでステージに上がった。

すると元の運転手が戻ってきていた。

私の出番は終わりかな。

寂しいような安心したような妙な気持ち。

運転手くんからtetsuyaさんからの伝言だと
打ち上げ会場の地図を渡された。

東京へは自分が行くからと。

Kenちゃんにも会いたいし
素直な気持ちで会場に向かった。

もちろん私服に着替えて。

そっと扉を開くとざわついた店内。

知ってる顔を何人か見つけてそちらへ向かう。

『河南こっちや!』

そう手を上げて合図をくれたKenちゃんに
緊張がほどける。

Kenちゃんは空いている自分の隣の席をたたく。

自然に向く足の先は
長くKenちゃんと一緒にいるからか
アイコンタクトで通じる。

「お疲れ様」

久しぶりにKenちゃんとの恋人関係が戻る。

だけど目の前にはあまり会いたくない人たち。

「あのさ、Kenちゃん」

やっぱり来なければ良かったのかな私。

それ以上の言葉が出なかった。
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