pretty girl(ken)


ー河南 sideー

Kenちゃんが好きだから引き受けた仕事を
色々な感情で辞めてしまいたいとも思った。

「ねぇ、Kenちゃん」

コーヒーを飲むKenちゃんに意を決して話す。

「私達、釣り合わないのかな」

しばらくの沈黙。

『河南は俺と別れたい?』

「ガテン女子だし、私」

やっぱりあの事が引っ掛かっている。

ニッカなんて・・・

『俺、河南のニッカ姿に惚れてるんやけど』

正直、今はあまり嬉しくない。

ただ無言が続き
Kenちゃんの顔も見られない
苦しい想いのまま高速を走った。

時間には余裕がある。

だから私は車を止めた。

海と飛行機が見える駐車場に。

「私、Kenちゃんのこと好きだよ。
だけどKenちゃんはみんなのKenちゃんだから・・・」

『俺かてKenやけど一人の男やん』

「ずっと一緒にいられないのかな」

もう分からない。

好きな気持ちだけじゃダメなのかな。

認めてもらわなくちゃダメなのかな。

今までKenちゃんといた時間は何だったのかな。

「私・・・Kenちゃんと離れるなんて嫌だ」

『俺は離れるつもりはないって』

「だけど・・・」

Kenちゃんは何も言わなかった。

何も言わないのに強引にキスをされた。

嫌いじゃないキスも。

『ドライバーもう辞めようや。
俺の隣にいればいいって』
6/10ページ
スキ