pretty girl(ken)
ーKen sideー
河南のことはhydeから聞いた。
一部始終を聞いていたhydeは
テツにスタッフを変えるように言っている。
その後、河南とは連絡が取れなくなって
河南が俺を無視しているようだ。
そんな苛立ちからか事故渋滞に巻き込まれて
現地入りの時間を過ぎてしまった河南に
冷たく当たってしまった。
『いい加減にしてや、プロやろ!』
「すみませんでした」
俺と河南のやり取りを止めたのはテツやった。
t『Kenちゃん、河南ちゃんはプロやないって。
俺達がお願いした助っ人やろ』
しまった・・・
河南の顔を見ればぐっと歯を食いしばって
泣きそうなのを我慢していた。
『悪い・・・』
「いえ、すみませんでした」
俺に一礼をした河南はスッといなくなり
それを例の女性スタッフが鼻で笑った。
俺にも聞こえた。
たぶんメンバー全員にも。
もちろん河南にも。
他のスタッフにも。
そしてユッキーが女性スタッフの前に出る。
y『明日からお前がトレーラー運転しろよ』
そう言ってユッキーがスタッフルームを出て行った。
俺もスタッフに対して怒りが込み上げる。
そして河南に対しても優しさが欠けていたと
自分自身にも腹が立つ。
その日のライブが終わると次は嫌いな飛行機移動。
河南に謝りたくて
飛行機には乗らずに河南の助手席に乗ることを決めた。
ライブが終わると俺はすぐにトレーラーに乗り込んだ。
河南が運転席を開けるとギョッとした顔をしている。
「な・・・んで?」
『えーやん』
「飛行機嫌いだもんね、Kenちゃん」
『うっさいわ』
それから会話もなく俺は運転している河南を見ていた。
こんな真剣な顔で運転する河南を初めて見た。
乗り心地も良くブレーキ操作も緩やかだ。
いつの間にか寝てしまったのは俺。
気付くとサービスエリアだった。
「コーヒー飲む?」
ドリンクホルダーには2つのカップが並んでいる。
目覚めのコーヒーは胃に染みる。
『昨日はごめん』
河南を責めたのは誰でもない俺や。