pretty girl(ken)


ー河南 sideー

まさかの出来事に開いた口が塞がらない。

何故こうなったのか訳が分からないまま
ニッカ姿でトレーラーの運転席に乗り込んだ。

とにかく急がないと時間に着かなくなる。

関係者から視点でもファンから視点でも
ライブが出来なくなるのは嫌。

どんな思いでラルクがスタッフが
練習してきたのかは分かってるつもりだ。

私は何も出来ない
ただ見守るだけだと感じていたから
頼りにされて正直嬉しいけど私でいいのかな。

運転以外何も出来ない。

だけどKenちゃんの為ならと覚悟は決めたつもり。

服は下着は洗面用具はどこかで買えばいい。

無事に着いて1日目を終えた。

運転と機材を運ぶのを手伝っただけ。

近くのモールで買い物をしたら
化粧品も入ってたからかものすごい金額になった。

これはKenちゃんに請求書を出さないといけないな
なんて冗談にも思った。

だけど、ライブが終わったら機材を積んで
更なる地へと行かないとならない。

Kenちゃんと接することはなく
次の地、次の地へとトレーラーを運転した。

休めるのはリハーサル中とライブ中のみ。

日中に睡眠をとり夜中に走る。

そんな私にはチェックインの時間外だからか
ホテルの部屋もない。

運転席で眠ったり休憩室の隅で寝てみたり
さすがに体も痛いけど弱音は吐けない。

Kenちゃんの計らいで用意してくれた関係者席も
ほとんど顔を出すことが出来ていない。

関係者と言っても知らない人達ばかりだし
私なんかがいてもと思うと
その一歩が踏み出せなくてやめた。

ツアーが始まりKenちゃんと会えたのは
最初の1日だけ。

Kenちゃんが大丈夫か?って気にかけてくれて
何かあったらすぐに言いやって言ってくれた。

合間の休憩にKenちゃんに連絡してみたけど
連絡は取れずに距離を感じ始めた。

何か心の隅で後悔と寂しさが芽生える。

私、何やってるんだろう。

だけど引き受けたからには
半ば強引だったけど最後までやり通さないとと
仕事に専念した。
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