pretty girl(ken)


ーKen sideー

俺の彼女は職業が土木関係で
タバコは吸うし酒は飲むし
パチンコ、パチスロはするし
はっきり言って親父。

それは言い過ぎで
土木業者に多いお兄さん達と同じで
姉御と言うかガテン女子。

俺よりはるかに年下なのに
俺の扱いも見事なツンデレ女子の
河南が俺の彼女。

でも休みの日はスカートをはいて髪を下ろして
料理はするしお菓子は作るし
ガテン女子なのかOLなのか分からなくなる
そのギャップに萌えてしまう俺がいる。

そんな河南を事務所に呼んだ夜。

「少し遅くなるけどいい?」

現場から直接行くようにするけど
作業着だから嫌だなと言う河南に無理を言った。

真っ黒のハイゼット
軽トラが事務所の駐車場に着くと
太い裾が揺れる真っ赤なニッカポッカ姿の河南が
髪だけ降ろして
サイドミラーで前髪を整えて
入り口で待っていた俺の元へ駆けて来る。

「こんな格好だけどいいの?」
『いいの』

俺の横にいる河南の姿に
何度見もするスタッフたち。

「見られてる・・・」

ぼそりと呟く河南は下を向いていた。

h『今日は赤』

そう言ってスカートをめくる真似をするhyde。

t『相変わらず似合ってるやんニッカ』
y『俺はキライじゃないよ』

河南が気にしてると分かってて
いつもフォローをしてくれるメンバーの
言葉たちに俺は笑顔になる。

河南が笑えば和む周囲。

何故なら
こんな格好をしている女子がいれば
自動的に元ヤンだと認識される。

それを河南は分かっていて
いつも肩を強張らせている。

ならニッカをやめればいい。

そう言う奴もいるけど
俺たちのスタイルがあると同じように
河南のスタイルであって
決して元ヤンではない。

偏見を向ける目は気になる河南ある。

『頼む!』

俺たち四人とスタッフたちが河南に頭を下げる。

「急に言われても困る!断る!」

河南の声が響く事務所内。

親父さんにはもう許可を取ってある。

河南の意志とは裏腹に
俺は河南を連れてラルクのツアーに出発した。

ラルクの機材を運ぶトレーラーの運転手が
不手際で足を骨折。

運送業者を手配するも今日の今日では
人員確保が出来ないとどこも断られた。

それで
トレーラーを運転出来る河南を呼んだ。

自営業の河南だからこそ適任で
俺的にも河南を側に置いておけると
我ながらいい思惑にニヤける。
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