Jewel box(hyde)

久しぶりにお肉食べたい!と
通り掛けたお店の街頭メニューを覗く。

「高っ!」

苦笑いするしかない。

残念だけどお給料日前だし私には無理だと
諦めざるを得ない。

一度でいいからこんな所で食べたいなと
敷居の高い店を見上げる。

不適切
そう建物から言われた気がした。

帰ってビール呑んで
お茶漬けでも食べよう。

諦めた店を背にした瞬間
何人かの男性とすれ違った。

オーラの違いがよく分かる。

店内に入っていく。

この人たちもか・・・
そう思った。

振り返り様に目が合う。

慌てて反らすのを見られた。

逃げるように帰宅する。

別に悪いことしてないけど
オーラの凄さに耐えられなかったのが事実。

テレビのチャンネルを変えながら
やることはあるのに
ただただ暇を感じていた夜。

A5ランクのお肉に押し潰される夢を見る。

お肉食べたい願望が
重症だなと苦笑いの朝を迎えた。

何日もお肉に悩まされる。

お肉を食べないと力も出ない。

やっとの時間が
喜ばしい時間に変わる給料日。

なに食べようかな
その思いだけで街中を練り歩く。

焼き肉
しゃぶしゃぶ
ステーキにカツ
喉が鳴る。

あれ?
ここはなに屋さん?

シンプルな出入り口に明かりが灯っている
店名らしき看板が小さくあるだけ。

こういう所は
一見さんお断りみたいなやつなんだろうなと
勝手に想像して店を後にする。

するとまた男性とすれ違った。

オーラの違いが
知り合いではないことを意味するのに
何故か知っている気がした。

香水の匂いかな。

最近、嗅いだことある匂いがする。

はて・・・
足を止めて考える。

ダメだ思い出せない。

振り返ってみるとまた目が合った。

慌てて反らし駆け足で逃げた。

また逃げてしまった。

別に悪いことしてないのにと何度も
そう思い気付けば家の前。

お肉食べたかったのになと思いながら
冷凍してあった豚小間でお腹を満たした。

会社から家までは歩いて一時間ほどかかる。

夜は運動のため歩いて帰ることにしている。

その最中に夕食も済ませてしまえるほど
沢山の飲食店が並ぶ。

食べる呑むことが大好きな私は
毎日そのライトアップされた飲食店に
見せられて
夕食は外食ばかり。

ひとり飲み
ひとり酒
おひとり様
その部類な私である。
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