チョコレート症候群(hyde)

それからずっとhydeさんに会っていない。

返事を返していない。

返事は急がないから
ゆっくり考えてと
メッセージをもらった。

hydeさんはイベント事に忙しくしていて
渡せなかったプレゼントは
鞄の中で幅を取っている。

2月が終わり
春の息吹が顔を出す季節。

私の中で3月14日のホワイトデーに返事をすると決めた。

hydeさんがバレンタインデーに告白してくれたのだから
私はホワイトデーに返事をしなくてはいけない。

答えはまだ出ていない。

忙しさが落ち着きを取り戻し
私は連日、答えについて考えている。

何かきっかけがあれば・・・

そう願うと神が味方してくれる。

それは突然にやってきた。

給湯室の前
OLにありきたりな場面。

熱烈な会話が聞こえてくるから
思わずドアの影に隠れてしまった。

チラ見すれば
事務所に出入りしている業者の女の子を
彼が口説いているところ。

わざとではないが
見てしまったことにドキドキしてしまう。

そしてそれは私の気持ちに変化を起こした。

不思議と恋しているであろう彼の
そんな場面を見ても
ショックという意味では
傷付くことすら感じない。

むしろ自分の塗り固めた嘘の熱が
その一瞬で冷却され
終わりにすることが出来た。

長く引いていた風邪が
薬を飲んだらあっという間に治ったみたいに
あっけない変化に戸惑うだけ。

お疲れさまですと彼に
ご苦労様でしたとその相手に声をかけながら
何事もなかったように
給湯室に入り
お邪魔しましたと出る自分が掃除婦のようで笑える。

彼には私は特別ではなかった。
そう分かってひとつ身軽になった。

あとは・・・
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