美男と野獣(hyde)

週末のLIVE。

関係者席もあったけど
自分で取れたチケットが
あまりにも良い席だったから
そちらを優先した。

目の前でhydeが暴れているのを
ファンの皆が受け止める。

ビキニを着た女性が
胸を揺らして、くびれた腰をくねらせ
細い手足を伸ばしてhydeを呼んでいる。

それがまた私にはないもので
目を反らしたい。

やっぱり私
場違いかもしれないと思った矢先だった。

良く見ればhydeの指先には
車の鍵に付けてあった青く輝くリングが
hydeの指を照らす。

同じ蝶がhydeの指先で止まっている。

それだけで私はhydeからの愛情を感じた。

また泣くんだ。

もう溢れる涙とあなたへの愛は止まらない。

仕事の方として打ち上げに参加した。

離れている席で
メンバーがそれぞれ挨拶をしている。

その他の関わった人達が
それぞれにアピールしたりしていて
私の寄り添える場面などない。

それでも視線の先にはhydeがいる。

楽しそうな
その風景を横取りする訳にも行かず
カウンターの隅で上司と呑むのが精一杯。

それでも私がhydeの横にいるよりは
絵になるそれを見つめた。

『河南、帰るよ』

手を差し伸べてくれたのは誰でもないhyde。

ざわめく周囲も気にしないで
hydeは私の手を取って帰路に着く。

ベッドルームでふいにキスされた。

今までにはない
深い深いキスは甘くとろけるよう。

すでにエクスタシーを感じながら
押し倒される。

真面目なhydeの顔。

思わず防御的に出ているお腹をへこます。

『スタイルなんて気にせえへんよ。
河南は河南やん?』

救われた気がした。

私はhydeだからこそ恋人は
もっと綺麗な人じゃないといけないと
思ってた。

『愛してるよ』

hydeは熱くて甘くて素敵な夜を私にくれた。
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