美男と野獣(hyde)

週末にはhydeのLIVEがあって
行くつもりでチケットもあるのに
今日は仕事を休んでしまった。

ベッドから起き上がる気力もなく
食事を取る気力もない。

このまま食べなければ痩せるかもと
安易な考えの隅で
ずっとhydeの歌声を聞いていた。

翌日はさすがに仕事に行かなくちゃと
重い足取りで向かった。

忙しければ考えなくて済んだのに
考えてしまう時間ばかりが経ってしまって
気づけばhydeがリハーサルをしに来る時間。

会いたくないと思いながら
会いたくて会いたくて。

後悔と止まらない涙で
瞼が腫れているのが分かる。

もしこのままhydeに嫌われてしまったら
私はもうここにもいられない。

この胸元の蝶は羽ばたいて行ってしまうのか
甘い蜜にずっと捕らわれているのか。

hydeが来たのが分かると
腫れた目を見られたくなくて下を向いた。

hydeの拳が受付テーブルに落とされ
ビクリと顔を上げてしまった。

『泣いたん?目、腫れとる』

hydeは胸元の蝶に目を向けると
またあの優しい笑顔をくれた。

『帰り、車で待っとって』

そう言って鍵を目の前に出す。

差し出した手の平に落とされる。

この間はごめん
その言葉が出なくて頷くことしか出来ない。

また泣きそうなんだ。

お礼も言わなくちゃって思ったのに
hydeを呼ぶ声に邪魔された。

hydeはまた私の頭を撫でて
後でなと行ってしまった。

手の平の鍵を見つめると
鮮やかな輝きに目を奪われる。

ペンダントと同じ蝶が舞っていた。

お揃いだったんだ・・・

じわりとまた涙。

枯れたと思った涙は毎日よく生産されるな。

hydeの車の中はhydeの匂いに溢れている。

まるでhydeに抱かれているみたいな錯覚に
目を瞑る。

駄目だ・・・
もう限界過ぎてまた泣きそう。

hydeが来ると私は助手席に居なかった。
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