美男と野獣(hyde)

起きると昼近くだった。

二日酔いかまだ少し頭が痛む。

『おはようさん』

「hyde?!」

確かに合鍵は渡してある。

だけどタイミングが・・・
パジャマ姿とスッピンを見られた。

何も言えないで口が開いたままの私を見て
hydeがくしゃくしゃな顔で笑う。

『寝起きドッキリ成功』

満足気な顔をしている。

シャワーを浴びて頭をスッキリさせると
自信を持つか断るつもりか悩んで
一か八かの期待をしたくて
勝負下着を身につけた。

お部屋デートと思いきや
たまには外に出ようと
可愛い格好しておいでと言われて
緑のフレアスカートにセーターを選んだ。

『うん、可愛いやん』

そう言ってhydeは私の頭を撫でた。

hydeに釣り合うように伸ばしかけている
肩についた髪がくしゅっと揺れる。

寄りたいと言うアクセサリーショップで
hydeに手招きされてケースを覗く。

鮮やかなブルーの蝶のアクセサリーが並ぶ。

「綺麗・・・」

hydeは店員さんを呼ぶと
ケースから出されたペンダントを
私の首に掛けた。

『完璧やね』

サングラスの中からウインクするのが分かる。

リリーエルランドソンの蝶が
私の胸に止まった。

手を繋いで横断歩道を渡る。

hydeの方が細いんじゃないかと
回りがどう思うのかふと考えてしまった。

横断歩道を渡りきると
東京独特のショーウィンドウが並ぶ歩道。

やっぱり映る自分が大嫌い。

足を止めてhydeと繋いでいた手を離す。

「やっぱり帰る」

見れば私よりもっとスタイルが良くて
綺麗で可愛くてそんな人達が歩いている。

自信が持てなくて
どうしてhydeが私を選んだのか
どうしても気になってしまって
hydeに聞くことが怖い。

帰ると言って離した手を後悔する。

私から手を離してしまったら
もうhydeに嫌われてしまうかもしれない。

心が絶望的になって
500メートル位歩いた道を振り向いた。

ペンダントのお礼もちゃんと言えなかったし
遊びだったらブランドのペンダントなんて
買ってくれないよねと思い走って戻った。

いるわけないよね・・・

泣きながら帰った。
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