チョコレート症候群(hyde)
モヤモヤする気持ちを抱えながら
バレンタイン当日を迎えた。
いつもと変わらない時間。
hydeさんは今日に限って
事務所に寄らなかった。
手元のプレゼント無駄になっちゃったかな。
小さなため息。
仕分けの作業も今日で終わりになる。
作業の度にhydeさんが声をかけてくれて
楽しかった時間が終わってしまう。
寂しいような
脱力感が半端ない。
大きなあくびに襲われながら
帰って寝ようと決める。
事務所を出ると
見慣れた車が止まっていた。
hydeさんのあのフェラーリ。
hydeさんが運転席から出てくる。
忘れ物でもあったのかなと
事務所内を脳裏で観察しながら
今ならプレゼント渡せるかもと
鞄に手を入れた。
『河南ちゃん』
名前を呼ばれて
はじめて私に用だと気づく。
鞄の中を探していた手が止まる。
あのさ・・・
そう切り出されて
はい・・・と答えるしかない。
『この間の話なんやけど』
「この間の?」
『そう、河南ちゃんから本命がほしいって話』
考えといてって言われたっけ。
そう言って小さな箱を渡させれた。
思わず受け取ってしまったけど
今日はバレンタイン。
女の子から気持ちを伝えるはずの日なのに
逆チョコって。
驚いて
心臓がドキドキして
手足が震えて
言葉すら発することが出来ない。
『本気やから』
hydeさんはそのまま
ジーンズのポケットに手を入れて
私に背中を向けると
独特なエンジン音を吹かし
夜の街に消えて行った。
しばらく茫然としたまま帰宅した。
箱のリボンを解く。
黒い箱の中から
見覚えのあるマークが書かれたパープルの石が顔を出す。
アレックスストリーターの
エンジェルハートのネックレス。
そうhydeさんがいつも指に身に付けているあの指輪と同じマーク
同じブランド。
思わず蓋を閉めた。
色々なことが脳でごちゃまぜになる。
このネックレスの値段は知っている。
前にhydeさんとカタログを見ながら話したから。
しかも限定版だってことも。
わざわざ私の為に?
何も考えられない。
どうして私なの?
鞄からはhydeさんに渡せなかったプレゼントの箱が
顔を覗かせている。
自分が分からなくなる。
偽物の恋を
自分の中で正当化したのが間違いだったのかな。
365日の中の90日は
頻繁に話はするけど
残りの275日は半分以下も
hydeさんと話さないのに
hydeさんと話すときは
いつも笑顔の私がいた。
心が暖かくなるようで
安心出来る気持ちがあった。
彼とはただ自分がときめきたいが為の要素だってことを分かっていて
わざと恋していた。
私、hydeさんにも嘘の恋をしていたのかな。
本当は本当の恋をhydeさんにしていたのかな。
違う。
ここ数日でhydeさんに恋してしまったのだと確信する。
バレンタイン当日を迎えた。
いつもと変わらない時間。
hydeさんは今日に限って
事務所に寄らなかった。
手元のプレゼント無駄になっちゃったかな。
小さなため息。
仕分けの作業も今日で終わりになる。
作業の度にhydeさんが声をかけてくれて
楽しかった時間が終わってしまう。
寂しいような
脱力感が半端ない。
大きなあくびに襲われながら
帰って寝ようと決める。
事務所を出ると
見慣れた車が止まっていた。
hydeさんのあのフェラーリ。
hydeさんが運転席から出てくる。
忘れ物でもあったのかなと
事務所内を脳裏で観察しながら
今ならプレゼント渡せるかもと
鞄に手を入れた。
『河南ちゃん』
名前を呼ばれて
はじめて私に用だと気づく。
鞄の中を探していた手が止まる。
あのさ・・・
そう切り出されて
はい・・・と答えるしかない。
『この間の話なんやけど』
「この間の?」
『そう、河南ちゃんから本命がほしいって話』
考えといてって言われたっけ。
そう言って小さな箱を渡させれた。
思わず受け取ってしまったけど
今日はバレンタイン。
女の子から気持ちを伝えるはずの日なのに
逆チョコって。
驚いて
心臓がドキドキして
手足が震えて
言葉すら発することが出来ない。
『本気やから』
hydeさんはそのまま
ジーンズのポケットに手を入れて
私に背中を向けると
独特なエンジン音を吹かし
夜の街に消えて行った。
しばらく茫然としたまま帰宅した。
箱のリボンを解く。
黒い箱の中から
見覚えのあるマークが書かれたパープルの石が顔を出す。
アレックスストリーターの
エンジェルハートのネックレス。
そうhydeさんがいつも指に身に付けているあの指輪と同じマーク
同じブランド。
思わず蓋を閉めた。
色々なことが脳でごちゃまぜになる。
このネックレスの値段は知っている。
前にhydeさんとカタログを見ながら話したから。
しかも限定版だってことも。
わざわざ私の為に?
何も考えられない。
どうして私なの?
鞄からはhydeさんに渡せなかったプレゼントの箱が
顔を覗かせている。
自分が分からなくなる。
偽物の恋を
自分の中で正当化したのが間違いだったのかな。
365日の中の90日は
頻繁に話はするけど
残りの275日は半分以下も
hydeさんと話さないのに
hydeさんと話すときは
いつも笑顔の私がいた。
心が暖かくなるようで
安心出来る気持ちがあった。
彼とはただ自分がときめきたいが為の要素だってことを分かっていて
わざと恋していた。
私、hydeさんにも嘘の恋をしていたのかな。
本当は本当の恋をhydeさんにしていたのかな。
違う。
ここ数日でhydeさんに恋してしまったのだと確信する。