twinkle twinkle(ken)

あれから会うことはなかった。

夏の蜃気楼だったのか
幻だったのか
揺らめく残像ももう消えそうだ。

夏休みが終わると
進路決めが忙しくなる。

放課後ざわめく教室。

校門に向かって
黄色い声を出す女子たち。

そこに止まっている車に
興味津々な男子たち。

河南も見てごらんよと
友人に誘われて覗く。

見たことある車にハッとするも
まさかねと気持ちがよぎる。

するとLINEが鳴る。

『やっほー』

画面を見ると再び鳴る。

『見えてる?』

予感は確信に変わる。

「なんで?」

疑問を投げ掛ける。

既読が付くたびに繰り返される会話。

『暇だから遊んで?』

遊んでって・・・

私友達になったのかな。

しばらく固まっていると
再び鳴るLINEの通知音。

『だめ?』

もうキュンだよね!

「今いく!」

私は友人を放り出して
鞄を持って急いだ。

またあの笑顔が目の前にある。

下校中とあって注目される。

「Kenちゃん行こ!」

私は慌ててKenちゃんの手を引いた。

それなのにKenちゃんは
助手席を開けてエスコートしてくれる。

くすぐったくて
恥ずかしくて
注目を浴びているのに
笑顔になる。

でも何の気紛れでKenちゃんはここに来たのだろうか。

運転するKenちゃんの横顔を見つめながらそう思った。

するとKenちゃんが笑う。

俺ってそんなにイケメンかなと言うから
冗談だと分かっていて
イケメンだよと返した。

ドキドキが止まらない。

もう分かってしまった。

Kenちゃんに何の目的があるか分からない。

目的もなくからかわれているだけかもしれない。

それでもいい。

Kenちゃんが好き。
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