君のカメラは見たくない(yukihiro)
1ヶ月あった期間も終わり
また12月のツアーが始まる。
埼玉スーパーアリーナ公演が開幕する直前。
それは願ってもないタイミングで
彼女からのライン。
今日は埼玉ですね、頑張って下さい。
期待するような文章。
来る?
期待は込めた。
ごめんなさい、個展の準備で。
なんだ、つまんねーの。
自分でそう思った気持ちが顔に出たのが分かる。
個展?
はい、小さな個展ですがクリスマスに。
行くから。
そう告げたのを今日は最後にライブの幕開け。
何故、彼女からのラインがあれだったのか。
来ないのに。
だけど彼女からのラインが嬉しくて
ドラムが弾けている。
KenくんのMCに相づちも出来てるし
何だか頭に花が咲いたようだ。
ちょっと待てよ
もしかして個展の告知をしたくてわざと?
いやいや、彼女はそんな子じゃないはず。
そんなことを考えてると
叙情詩の出だしを間違えた。
ユッキーがさぁってhydeくんは笑ってくれたけど
tetsuyaくんは笑ってなかった。
一心不乱に頭を下げた。
失態をしてから集中力を上げて
横浜アリーナを終わらせた。
代々木でツアーが終わる。
個展に行く
そう言ったっきり連絡が出来なかった。
マネージャーに頼んでチケットは用意出来ている。
連絡しなくても行ってみればいい。
そう思って空いている12月24日を予定した。
街はクリスマスムード一色。
何か彼女にプレゼントを。
会えるか分からないのに
俺の中では会える前提での話が進んでいる。
何をプレゼントするかなんて考えられない俺で
いつもの店で
彼女に合った小さなピアスを買った。
ポケットにすっぽり入るそれを押し込んで
小走りにギャラリーへ向かう。
業界人だろうかスーツを着た奴。
誰かバンドの奴なのか黒づくめな奴。
激しめアクセサリーの恋人。
静かかと思ってたけど割りと賑やかだ。
彼女は…いなかった。
ポケットの奥の箱を握りしめる。
しばらくは写真を眺めてた。
あ、これ
そう思って目を向けたのは俺の写真?
正確には俺の時に撮った写真に似た写真。
そして個展で売られていた写真集を買った。
彼女は?
そう聞いたら夕方には来るはずですと
教えてもらった。
少し待ってみるか。
ドア横のベンチに座る。
写真集を広げる。
『yukihiroさん?』
声を掛けられて顔を上げると
彼女の顔と薄暗くなった空。
ギャラリーにはない写真ばかりで
見入ってしまっていた。
いつから?
いつからだろう、時計を見る。
「一時間位?」
彼女は慌てて自分のしていたマフラーを
俺の首に巻いた。
『やだ、風邪ひいちゃう』
涙目の彼女に笑う。
「そんなやわじゃないって」
『何で?明日もライブあるのに』
彼女の巻いてくれたマフラーが
首元がとても暖かくて彼女の香りがした。
びゅうっと風が吹く。
俺は夢中になりすぎて寒さを感じてなかったが
隣では彼女が身震いをする。
『yukihiroさん、
今日も曇り空だって気付いてました?』
今日は内心浮かれていた俺がいる。
気付いてなかったとは言いにくい。
見上げる空は曇り空と言うよりは
どんよりと濁っていた。
また12月のツアーが始まる。
埼玉スーパーアリーナ公演が開幕する直前。
それは願ってもないタイミングで
彼女からのライン。
今日は埼玉ですね、頑張って下さい。
期待するような文章。
来る?
期待は込めた。
ごめんなさい、個展の準備で。
なんだ、つまんねーの。
自分でそう思った気持ちが顔に出たのが分かる。
個展?
はい、小さな個展ですがクリスマスに。
行くから。
そう告げたのを今日は最後にライブの幕開け。
何故、彼女からのラインがあれだったのか。
来ないのに。
だけど彼女からのラインが嬉しくて
ドラムが弾けている。
KenくんのMCに相づちも出来てるし
何だか頭に花が咲いたようだ。
ちょっと待てよ
もしかして個展の告知をしたくてわざと?
いやいや、彼女はそんな子じゃないはず。
そんなことを考えてると
叙情詩の出だしを間違えた。
ユッキーがさぁってhydeくんは笑ってくれたけど
tetsuyaくんは笑ってなかった。
一心不乱に頭を下げた。
失態をしてから集中力を上げて
横浜アリーナを終わらせた。
代々木でツアーが終わる。
個展に行く
そう言ったっきり連絡が出来なかった。
マネージャーに頼んでチケットは用意出来ている。
連絡しなくても行ってみればいい。
そう思って空いている12月24日を予定した。
街はクリスマスムード一色。
何か彼女にプレゼントを。
会えるか分からないのに
俺の中では会える前提での話が進んでいる。
何をプレゼントするかなんて考えられない俺で
いつもの店で
彼女に合った小さなピアスを買った。
ポケットにすっぽり入るそれを押し込んで
小走りにギャラリーへ向かう。
業界人だろうかスーツを着た奴。
誰かバンドの奴なのか黒づくめな奴。
激しめアクセサリーの恋人。
静かかと思ってたけど割りと賑やかだ。
彼女は…いなかった。
ポケットの奥の箱を握りしめる。
しばらくは写真を眺めてた。
あ、これ
そう思って目を向けたのは俺の写真?
正確には俺の時に撮った写真に似た写真。
そして個展で売られていた写真集を買った。
彼女は?
そう聞いたら夕方には来るはずですと
教えてもらった。
少し待ってみるか。
ドア横のベンチに座る。
写真集を広げる。
『yukihiroさん?』
声を掛けられて顔を上げると
彼女の顔と薄暗くなった空。
ギャラリーにはない写真ばかりで
見入ってしまっていた。
いつから?
いつからだろう、時計を見る。
「一時間位?」
彼女は慌てて自分のしていたマフラーを
俺の首に巻いた。
『やだ、風邪ひいちゃう』
涙目の彼女に笑う。
「そんなやわじゃないって」
『何で?明日もライブあるのに』
彼女の巻いてくれたマフラーが
首元がとても暖かくて彼女の香りがした。
びゅうっと風が吹く。
俺は夢中になりすぎて寒さを感じてなかったが
隣では彼女が身震いをする。
『yukihiroさん、
今日も曇り空だって気付いてました?』
今日は内心浮かれていた俺がいる。
気付いてなかったとは言いにくい。
見上げる空は曇り空と言うよりは
どんよりと濁っていた。