Caress of Venus(hyde)
それから全てが順調に終わり
彼らメンズアイドルとの恋愛アプリは
完成し世に出回った。
人気絶頂の彼らだけあって
ダウンロード数も半端ない。
表彰などもたくさんあった。
だけど私はチームもチーフの座も
表彰も全てを後輩に任せた。
そして会社を辞めた。
hydeの事を後輩に話した時の
彼女の顔が忘れられない。
悲しさ、悔しさ、惨めさ
色々な感情があったと思う。
そうだよね、公私混同していたのは私のほう。
最後までお互い仕事はしたけど
それ以外は話さなくなったし
彼女のデスクからはhydeグッズがなくなった。
私とhydeのことは彼女以外誰も知らないけど
鳴瀬さんは失敗を後輩に押し付けたと
辞める日までも陰口も叩かれた。
致し方ないことだけど
後輩の事が心配でならなかった。
だけど私も彼女も十分過ぎる程の大人だ。
hydeといる時間が増えて
色々とhydeと話すうちに
またhydeの考えを形にしたいと気持ちが出てきた。
そうして私は
hydeと屋根の下を共にするようになって
住んでいた部屋は仕事部屋に。
hydeのオフィシャルグッズを
手始めにデザインした。
と言うよりも、河南がすればいいと
半ば強引にhydeにやらされたと言うか。
今やっと離れていた時間を埋めるように
ずっと一緒にいる。
hydeの話を聴きながら
あ、そうだ!こういうのはどうだろうと
すぐに仕事の話を始めてしまう。
河南は仕事人間なのかと
hydeからは溜息。
笑いながら返す。
いいじゃん、誰でもない
hydeのことしか考えてないもん。
常にhydeと私の間にはノートパソコン。
邪魔やなって聞こえる。
それでも、その中には私が形にしたい
バーチャルhydeがいる。
hydeのライブを見て
思い付いたアプリを手掛けようと
今は楽しくて仕方ない。
事務所という訳ではないが
部屋のチャイムが鳴った。
ドアを開けるとそこには後輩の彼女が
スーパーの袋を重そうにぶら下げて立っていた。
「聞いて下さいよ!」
そう言いながら押し入ってくると
テキパキとテーブルの上の書類をまとめて隅に。
買ってきた物を広げ始めて
居酒屋のテーブルみたいになった。
「先輩、ビールでいいですよね」
そう促されて
思わず、はいと返事しながら座る。
愚痴が始まったのだ。
私が辞めたあと
あのアイドルからしつこく連絡が来て
私の居場所を聞かれたと。
知らないと答えたけど
あまりにしつこいから電話越しに文句を言ったら
あの態度は何なんだと逆ギレされて
騒ぎになったそう。
今どき社員を守ってくれない会社なんて
願い下げだと啖呵を切って辞めてきたと
オチまで付いてきた始末だ。
先輩、hydeさんのグッズ
デザインしたでしょ?
私たちはデザイナーじゃないんですよ!
クリエイターなんです!
今度は意気揚々と話し出す。
何、この展開と可笑しくなる。
喜怒哀楽の詰まった話に耳を傾けると
何本かの缶ビールが空になった。
久しぶりに飲み足りないなとも思って
奥から出したワインも空ける。
はぁ、もう呑めない。
2人でそのまま横になって
気づいたら昼で何これと起きた。
迷惑かけたのは私なのに
この子は普段見ない優しい顔をして
寝ていた。
と思ったらふいにお腹空いたと起き出して
ささっとUberEATSの宅配が来た。
呑んだ次の日には優しいうどんと
さっぱりした漬物の組み合わせに
和歌山を思い出す。
彼らメンズアイドルとの恋愛アプリは
完成し世に出回った。
人気絶頂の彼らだけあって
ダウンロード数も半端ない。
表彰などもたくさんあった。
だけど私はチームもチーフの座も
表彰も全てを後輩に任せた。
そして会社を辞めた。
hydeの事を後輩に話した時の
彼女の顔が忘れられない。
悲しさ、悔しさ、惨めさ
色々な感情があったと思う。
そうだよね、公私混同していたのは私のほう。
最後までお互い仕事はしたけど
それ以外は話さなくなったし
彼女のデスクからはhydeグッズがなくなった。
私とhydeのことは彼女以外誰も知らないけど
鳴瀬さんは失敗を後輩に押し付けたと
辞める日までも陰口も叩かれた。
致し方ないことだけど
後輩の事が心配でならなかった。
だけど私も彼女も十分過ぎる程の大人だ。
hydeといる時間が増えて
色々とhydeと話すうちに
またhydeの考えを形にしたいと気持ちが出てきた。
そうして私は
hydeと屋根の下を共にするようになって
住んでいた部屋は仕事部屋に。
hydeのオフィシャルグッズを
手始めにデザインした。
と言うよりも、河南がすればいいと
半ば強引にhydeにやらされたと言うか。
今やっと離れていた時間を埋めるように
ずっと一緒にいる。
hydeの話を聴きながら
あ、そうだ!こういうのはどうだろうと
すぐに仕事の話を始めてしまう。
河南は仕事人間なのかと
hydeからは溜息。
笑いながら返す。
いいじゃん、誰でもない
hydeのことしか考えてないもん。
常にhydeと私の間にはノートパソコン。
邪魔やなって聞こえる。
それでも、その中には私が形にしたい
バーチャルhydeがいる。
hydeのライブを見て
思い付いたアプリを手掛けようと
今は楽しくて仕方ない。
事務所という訳ではないが
部屋のチャイムが鳴った。
ドアを開けるとそこには後輩の彼女が
スーパーの袋を重そうにぶら下げて立っていた。
「聞いて下さいよ!」
そう言いながら押し入ってくると
テキパキとテーブルの上の書類をまとめて隅に。
買ってきた物を広げ始めて
居酒屋のテーブルみたいになった。
「先輩、ビールでいいですよね」
そう促されて
思わず、はいと返事しながら座る。
愚痴が始まったのだ。
私が辞めたあと
あのアイドルからしつこく連絡が来て
私の居場所を聞かれたと。
知らないと答えたけど
あまりにしつこいから電話越しに文句を言ったら
あの態度は何なんだと逆ギレされて
騒ぎになったそう。
今どき社員を守ってくれない会社なんて
願い下げだと啖呵を切って辞めてきたと
オチまで付いてきた始末だ。
先輩、hydeさんのグッズ
デザインしたでしょ?
私たちはデザイナーじゃないんですよ!
クリエイターなんです!
今度は意気揚々と話し出す。
何、この展開と可笑しくなる。
喜怒哀楽の詰まった話に耳を傾けると
何本かの缶ビールが空になった。
久しぶりに飲み足りないなとも思って
奥から出したワインも空ける。
はぁ、もう呑めない。
2人でそのまま横になって
気づいたら昼で何これと起きた。
迷惑かけたのは私なのに
この子は普段見ない優しい顔をして
寝ていた。
と思ったらふいにお腹空いたと起き出して
ささっとUberEATSの宅配が来た。
呑んだ次の日には優しいうどんと
さっぱりした漬物の組み合わせに
和歌山を思い出す。