Caress of Venus(hyde)

しっかりと受け止めてくれて
変わらないんだよね、優しいところ。

少ししか隣にいなかったのに
いつも繋いでた手は優しかった。

hydeがいつも手を出すんだ。
おいでって。
髪を撫でてくれて
今もそう。

変わらない。

ねぇ、今までも誰かにしてあげた?
誰かに優しくしてた?

悔しいな。

私は嫌いになったとも言われてない。
別れようとも言われてない。

「好き」

今も好き、hydeを。

だけど、今のhydeを知らないんだよね、私。

好きだなんて今更。

「ごめん、今更」

「言ってないから、別れようって」

「ズルいから、それも」

同じように両手で顔を包むんだね。
今も、初めてのキスだったあの時も。

あの時よりも大人のキス。

それからだった、夢に出て来なくなったのは。

単純かよ、私。

hydeの熱がいつまでも忘れられないでいる。

仕事モードに切り替えるように
強めに頬を叩く。

捨てたつもりのヒールは
デスクの下でちらほら顔を覗かせている。

その後の仕事は順調だ。

後輩の彼女が鼻息を巻いて
テンションを上げている。

私の気持ちにもゆとりが出来た。

気持ちが楽になったのは確かだ。

とは言っても
あれから会えていないし
結局、私たち二人の関係は曖昧なままだ。

キスしたあと
懐かしがって笑い合ったし
二回も三回もキスした。

幸せを感じたし
hydeの腕の中が正直、心地よかった。

マンションまで送ってもらって
また連絡するからと髪を撫でてくれて
だけど、hydeは海外ツアーに行くために
旅立ってしまったのだ。

やっぱりhyde。

そうやって連絡取れなくなったのだ、あの日も。

また連絡するから…
その言葉は嫌いだ。

hydeが海外ツアーをしているであろう期間に
hydeのアバターを完成させた。

後輩のhyde好きが斯うして
今までよりも人間らしいアバターが出来た。

脚本が出来上がり
ある程度のプログラムも出来上がった。

あとはhydeの声録りがある。

まあ、私は立ち合わないつもりだし
次の企画を考えるつもりでいる。

私の情が持たないかもしれないから
仕事では会わない方がいい。

そう決めつけた。

hydeが声録りをする日、
私は別の打ち合わせが入っていた。
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