new world(yukihiro)
しばらくは平和な時間が続いた。
そんな中、河南が突拍子もない事を言い始める。
出ていく、今すぐに。
待てよと言うも、河南は早くと急いでいた。
これ以上、迷惑かけられないからと
身の回りのものだけを詰め込んだバッグを手に
しばらくは連絡しないと
俺に言い放った。
河南の腕を掴む。
痛いだろうと思うほどに。
「言え」
しばらく沈黙した後で河南は言葉を選び始めた。
『お母さんが』
涙を流し
『遺産を渡せって』
歯を食いしばる頬のかたち。
『渡さないならyukihiroさんのこと』
目を瞑る河南。
「ばらすって?」
静かに頷く。
遺産を渡すつもりはない。
だけどyukihiroさんのこと売るつもりもない。
だから私のこと知らないふりをしてと。
一度泊めただけ
そう言ってと。
「お前、どこに?」
行くあてはないはず。
『ありがとうございました』
どこに行くかすら言えずに
頭を下げる河南を
腕と手の甲で涙を拭く河南を
放っておくことはしない。
成人までは保護者として面倒を見ると決めた。
「遺産はないと言えばいい」
ここに居ればいい。
「遺産は寄付したと言え」
父親の意思を継いで寄付したと
言えばいい。
何の問題もない。
『だけど・・・』
いつも冷静だった河南が取り乱している。
落ち着かせる。
「俺は大丈夫だから」
一緒に住んでいるのは
姪っ子だからと事務所に話してある。
俺が姪っ子だと言えば
誰が何と言おうが姪っ子。
未成年を金づるにするなよ。
怒りもが込み上げる。
母親なんか河南にはいない。
知らない。
父親に育てられた。
そう言えばいい。
そんな中、河南が突拍子もない事を言い始める。
出ていく、今すぐに。
待てよと言うも、河南は早くと急いでいた。
これ以上、迷惑かけられないからと
身の回りのものだけを詰め込んだバッグを手に
しばらくは連絡しないと
俺に言い放った。
河南の腕を掴む。
痛いだろうと思うほどに。
「言え」
しばらく沈黙した後で河南は言葉を選び始めた。
『お母さんが』
涙を流し
『遺産を渡せって』
歯を食いしばる頬のかたち。
『渡さないならyukihiroさんのこと』
目を瞑る河南。
「ばらすって?」
静かに頷く。
遺産を渡すつもりはない。
だけどyukihiroさんのこと売るつもりもない。
だから私のこと知らないふりをしてと。
一度泊めただけ
そう言ってと。
「お前、どこに?」
行くあてはないはず。
『ありがとうございました』
どこに行くかすら言えずに
頭を下げる河南を
腕と手の甲で涙を拭く河南を
放っておくことはしない。
成人までは保護者として面倒を見ると決めた。
「遺産はないと言えばいい」
ここに居ればいい。
「遺産は寄付したと言え」
父親の意思を継いで寄付したと
言えばいい。
何の問題もない。
『だけど・・・』
いつも冷静だった河南が取り乱している。
落ち着かせる。
「俺は大丈夫だから」
一緒に住んでいるのは
姪っ子だからと事務所に話してある。
俺が姪っ子だと言えば
誰が何と言おうが姪っ子。
未成年を金づるにするなよ。
怒りもが込み上げる。
母親なんか河南にはいない。
知らない。
父親に育てられた。
そう言えばいい。