陽だまり(hyde)

《16》ー部屋と最終話ー

私は引っ越しをして
hydeさんの家の住人になった。

忙しく飛び回る仕事以外では
のんびりとした時間を過ごしている。

hydeさんも日本にいた頃に比べると
ゆったりした時間を過ごしている。

お風呂に入れば
ドライヤー片手に待っているhydeさんがいる。

仕事が終われば迎えに来てくれる。

ショッピングも外食も一緒に行ける。

二人だけだとまだまだ英語が不安だから
hydeさん専属のコーディネーターさんも一緒だけど。

ドライブもhydeさんが運転してくれて
その横顔が大好きで。

日本では出来なかったことを
毎日二人で一緒に経験していく。

外で手を繋いでも自由。

何回キスしても自由。

今まで言えなかったことも言えるし
今まで聞けなかった言葉も聞ける。

愛してると。

あの日、拾ってもらってから
あなたを好きになるまでには
時間はかからなかった。

あんなことがあったから
hydeさんに出会えたわけで
hydeさんに飼われたわけで
好きになれたわけで感謝をする。

「落ち着くわ」

hydeさんの一言に確かにと返す。

いつもの香りといつもの空気。

さようならと言ったのに
hydeさんが言ってくれた。

「おかえり」

そして優しく抱き締めてくれる。

『ただいまにゃん』

hydeさんは猫アレルギーは治ったと言ってるけど
私は人間にゃん。

本物じゃないにゃん。

だから言った。

『hydeさん、猫飼おう?』

「猫は飼ってるからいらないにゃん」

あなたの指が私に触れる。

冗談だったのにうまく丸め込まれてしまった。

私たちのロサンゼルス生活は
始まったばかり。

今度はあそこのカフェに行きたいと伝えると
次のオフに行こうと答えてくれる。
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