-河南side-

空海と廊下のソファで会った。

私がそこにいたら空海が隣に座ったのだ。

『大丈夫？』

「心配かけてごめんね」

何度も楽屋に来てくれたことは
yukihiroさんから聞いていた。

『こんな所で珍しくない？』

私が廊下のソファにいることが珍しいけどと
言われた。

その通りだ。

今日はyukihiroさんが
ドラムセッティングに時間がかかっていて
スタジオから楽屋までの途中で
何だか疲れてしまって
ソファに座ったところだった。

痛みに肩を張っていたせいかな
痛み止めの副作用にうなされなくなったら
今度は疲れが出てしまったのだろう。

ポケットの小銭で空海が
温かいお茶を買ってくれてほっと一息つく。

何も話さないでも感じる優しさに
いつの間にか意識が薄れて
空海の肩にもたれた。

がっしりした肩のラインがまた心地いい。

それなのに気付くと楽屋のソファで
何だかおとぎ話みたいに呆気に取られた。