24時間キスしていいですか?(yukihiro)
-河南side-
笑っていた。
幸い意識のある中であの子を見たら
可愛い顔をした悪魔に見えた。
痛みと息苦しさが背中を襲う。
空海が詰まった背中を何度か叩くと
自然の息が吐けるようになった。
だけど言葉も出なくて
ただyukihiroさんにしがみつくだけ。
空海に捲し立てられたあの子は
いなくなっていた。
空海が病院に行こうというけれど
私はテレビの前で待ってくれている
ファンのために歌うことを選択し
yukihiroさんに抱えられながら楽屋に戻った。
「降ろして下さい」
『無理』
yukihiroさんにお姫様だっこされたままの
楽屋への道は行き交うスタッフに
振り向かれるほどで
恥ずかしくて
でもときめいて
私はyukihiroさんの首に顔を隠した。
痛みを抑えて歌番組に出たものの
深夜の病院でレントゲンを撮り
肋骨にはヒビが入り足は捻挫していた。
安静にしなくてはいけないのに
仕事には穴を開けたくなくて
無理を承知で強い痛み止めを打ちながら
何とか笑顔を保ち
その裏では副作用で朦朧とする意識を
yukihiroさんがサポートしてくれた。
楽屋からも出られないほどの目眩が襲い
ソファで横になる。
目を瞑ると時折yukihiroさんの温かい手が
私のおでこを触る。
『熱、出てる』
「微熱だから大丈夫です・・・」