-yukihiro side-

河南のスタイルのよさが引き立つ
真っ赤なその靴は男心を誘うように虜にした。

でもサイズが合わなかったせいで
河南の足が赤く傷になっていた。

謝るスタイリストに河南は笑顔で
大丈夫だよって言うから
女性のスタイリストも河南に虜になっていた。

移動の車内で靴を脱いで
痛そうにしている河南を放っておけなくて
絆創膏を貼ってやったら
顔を真っ赤にして照れている。

そんな河南が可愛くて仕方ない。

また別の日もリハーサル中に河南の衣装が
なくなっていたり破れていたり
おかしなことが増えた。

またか・・・

すぐに分かった。

ダンス野郎がいるところには
必ずあの女がいる。

俺は廊下に出ると天井を見渡し
空き時間を利用して楽屋を出た。

警備室で防犯カメラの映像を見る。

やっぱりあの女。

確信を得て警備室のドアを開けると
そこには壁に寄りかかるダンス野郎がいた。

『見ちゃいました？』

『お前知ってたの？』

『河南のことなら何でも』

『あの女、どうにかしろよ』

『俺の女じゃないんで』