24時間キスしていいですか?(yukihiro)


-yukihiro side-

最近の河南は
事務所で曲作りをしていると聞いて
用のついでに顔を出してみた。

机を指で叩きながらリズムを取り
集中しているようだから
後ろからそっと驚かしてみた。

「きゃあ!」

びっくりした河南はバランスを崩して
椅子から落ちそうになり
俺は慌てて河南を抱える。

腕を回した腰は華奢すぎる。

こんな細い体から
あんなパワフルな歌を歌うなんて
正直驚いた。

「yukihiroさん?!」

そして河南はまた顔を赤くする。

俺の顔を見たとたんに過剰な反応をするから
面白くてからかいたくなる。

ふて腐れる河南を見て
俺が笑えば河南も笑う。

あまり見せない
その笑顔が可愛くて好きだ。

そのまま事務所のドラムで
河南とセッションした。

hydeくんの男らしいパワーと違って
女性のパワーはまた違う感覚で
俺のリズムを揺さぶる。

『河南さぁ、俺とユニット組まない?』

俺の急な申し出に河南を更に驚かせた。

しどろもどろになって
返事に困っている河南。

『だったら何で歌ってるの?』

意地悪な言葉を浴びせた。

長く河南と同じ事務所で
同じレコード会社で
レコーディングもサポートしてるから
河南の心情くらい分かっている。

けど即答出来ないくらい
俺は河南にとってそんな奴なのかと思うと
凹む。

河南が俺とユニットを組めば
少なくともあいつらから河南を守れるのに
特にあの乃愛瑠とか言う女
あいつは何かやるかもしれないと
直感が働いていた。

見ると下を向いて河南の瞳から涙が
こぼれ落ちた。

ギョッとしたのは言うまでもない。

泣かせてしまった。
7/23ページ
スキ