24時間キスしていいですか?(yukihiro)


-yukihiro side-

あいつが河南の楽屋に入るのを見てしまった。

おい、待てよ
そう思うと勝手にドアをノックしていた。

『さっきの格好よかったっすね』

やっぱりこいつ河南のこと・・・

怒りを拳にしてぐっと抑える。

ムキになる自分が
どうしてムキになっているのかは
分かっているつもりだ。

俺は河南が好きだ。

さっきのことからして
たぶんメンバーも気付いているはず。

他の奴に取られるくらいなら
納得するまでやり合ってからじゃないと
自分の気持ちが許せない。

だから確認したんだ
あいつが好きなのかって。

本当は確認するよりも前に
河南に俺の存在を植え付けたかったし
ソファに追いやって
強引にでもキスをしたかった。

だけど顔を赤くした河南の動揺が
伝わってきたから
脈ありだと思ってそこで止めた。

楽屋を出ると
知らないアイドルに話しかけられた。

『私、乃愛瑠(ノエル)です。
ラルクのファンなんです』

ぶりっこ系の俺が苦手なタイプ。

『さっきのステージ素敵でした』

こんな子居たかな・・・
興味がなければ覚えることもない。

ありがとうとお礼を言って
その場を立ち去ろうとしたら
背中に視線を感じた。

こいつ何かあるかもしれないと
そう俺の直感が働いた。

『君、hydeくんのファンでしょ?』

当てずっぽうにhydeくんの名前を口にした。

『今日はyukihiroさんの方が
格好よかったです』

怪しく笑む姿に
やっぱり舞台裏の俺と河南を見てたと分かる。

その瞳のくすんだ色だけ覚えといてやるよ。
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