隣人(hyde)

変わらない日々を送る。

今日は早く終わったので
ドライブに行ってきますと
LINEでの連絡が入った。

真っ赤なアルテガを転がす俺の彼女は
自慢のセクシー系。

どこまで行ってたん?

横浜までですと
今日は焼酎にしませんか?と蒸したての小籠包と
芋焼酎のロックが
グラスの氷をカランと鳴らす。

私、小籠包大好きなんですと
頬張る姿も
一気に焼酎を流し込む姿も
俺にはセクシーに見えてしまう。

そんな河南がいるだけで
俺の気持ちが癒される。

最近はライブのし過ぎで疲れてたしな。

少しの間だけでも河南との癒しの時間が持てて
幸せを感じている。

俺は河南をライブに誘った。

喜んで行かせていただきますねと
未だに敬語で話す河南が少し恨めしくも感じる。

理由を聞いたら
普段から敬語を使わないと
仕事でミスしたら嫌なんですと
河南らしい答え。

俺からよく見える河南の観客席。

胸元の開いた服が
回りの男たちを虜にしているようで
男たちの視線が俺じゃなくて
河南に向けられている
その姿に怒りを感じて
いつもより熱くなる。

ビキニを着ている女性だって沢山いるのに
やはり俺が好きになった河南だからか
俺の河南に触れるなよ。

ライブが終わって
河南を押し倒す。

『何でナンパされてたん?』

こんなことで俺を怒らせるのは河南だけ。

思い出しただけでも苛つく。

愛している河南だからこそ
魔の手が延びるのは許せない。

それなのに河南は笑顔で話す。

「hydeさんに焼きもち妬いてもらえたなら本望です」

こんな時には決まって現れる小悪魔な彼女は
本能だから憎めない。

これが計算なら俺は河南を好きにはならなかった。

可愛い俺の小悪魔ちゃんが
俺を魔界に引きずり込んだ。

もう抜けられない。
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