隣人(hyde)

ピンチョスやカナッペ
フルーツなどがテーブルに並ぶ。

久しぶりに女性の部屋へと足を踏み入れて
緊張している俺を見透かすように
お願い出来ますかと
ビンとタオルを渡された。

Jラサールのシャンパンを開けるのは俺の役目。

その自然な振る舞いに
男を起てる術を持っていると感心する。

Jラサールは造り手が数少ない女性とあって
エレガントなシャンパン。

思わず河南ちゃんを想像する。

尽きない話をしながら
こと座流星群を観察したくてテラスに出て
ラウンジベッドで横になり見上げる。

流星群見られるといいですねと
サイドテーブルには俺が差し入れたオーパスワンが
ワインクーラーに浸かっている。

シャンパンを空けて
赤ワインで盛り上がり
まるでどこかのビーチに入る気分。

指を差し
今見ました?と
少女のような笑顔にドキっとする。

俺の笑顔
今は優しい顔だろうなと
自分自身で絶賛するほど。

夜空の闇に流れる光が
ひとつふたつと増えて行く。

流星群が流れ続けるのを
目を輝かせて見つめる河南ちゃんの横顔を
俺は流れる星を見るよりも多い回数見ていた。

「また一緒に飲んで下さいますか?」

空を見上げていると思っていた河南ちゃんが
お酒のせいか潤んだ瞳で
俺を見つめている。

『俺で構わへんならいつでも』

そう言った笑顔の奥に
生唾を飲み込む俺がいた。
5/17ページ
スキ