隣人(hyde)

重なるタイミングが多くなり
時間をかけてゆっくりと隣人を知っていく。

今日もまた一緒になる。

それは隣人が現れたことのない地下駐車場。

普段と違うパンツルックに
ヒールのないシューズ。

シャツの胸元からは
エロティックな膨らみ。

ゴクリと喉が鳴る。

それを余所に
久しぶりにドライブでも行こうと思ってと
隣人が言いながらスイッチを押すと
俺の車庫の隣の自動シャッターが開く。

顔を出したのは
真っ赤なアルテガGT。

『アルテガやん』

思わず身を乗り出しながら
声を張る。

俺のフェラーリにひけを取らないアルテガ。

「このフォルムが堪らなく好きなんです」

フロント部分を撫でる。

車を前に
まるで男に媚びるかのような
妖艶な笑みを浮かべる。

しっかり磨かれて
異様なまでに輝く車は
見る者を虜にさせる赤。

1台が1000万以上のこれを持っているなんて
この隣人ただ者ではないな。

俺はそう確信した。

それじゃと
呆気にとられている俺に
手を振りながら
地下駐車場に響き渡るアルテガのエンジン音が
タイヤの音とメロディーを奏ながら去って行った。

ますます俺好みの女やん。

俺が帰って来ると
閉ざされたシャッターが横にある。

もう夜中やし帰ってきたんかな。

シャッターの中の眠るアルテガと
それを運転する隣人を思い描く。

エクスタシーを感じ
ぞくっとする背中。

たまらない。
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