初恋(ken)
ーこんな夜は切なくなる。
横なぶりの雨が記憶を戻していた。ー
あの日、河南と再会した俺は
ずっと河南だけを見ていた。
10年ぶりの河南は大人の色気をまとい
幼いころの面影は笑顔だけ。
ラルクのKenだと人気を征するも
話にも乗れない若い会話にはついて行けなくて
カウンターに座った。
こんな所にいてもいいの?って河南が言うけれど
こんな所に来たから
お前に会えたやん。
河南に告白された時は
両手を万歳して
神様に感謝するくらい
内心は舞い上がった。
思春期も重なり
まだ彼女と呼べる前に
終わった時には
自分が情けなくて。
あの時、ちゃんと好きやって
伝えてやるべきやった。
若かったんやな俺も。
河南が苛められていた時も
本人は知らない理由を俺は知っていた。
大人びた河南に嫉妬する女子たちの苛めは
時には過激だったが
俺が味方すればまた過激になると自惚れて
通りすがりに声をかけるだけにしていた。
本当は守ってやるべきだったと今は後悔している
ドラッグストアで会った時は
フラフラになりながら薬を探す河南を放って置けなかった。
熱で涙目の河南に
まったくいつまで経っても
目が離せないやん
そう言いかけてやめた。
ファミレスで会った時には
河南は彼氏を連れてた。
でも河南と視線が合うたびに
連れの女よりも笑顔になれた。
あれから上京して
今に至るまで
河南を妄想して
作曲したこともあるほど。
俺の初恋の相手。
大人なんだし
独りで帰れるとむくれた河南に
お前は女やろって
そばに置いておきたくて
かっこつけた俺。
昔から河南の連絡先さえ知っていれば
何度も話せたのにと思っていたから
今度こそは抜かりなく番号を交換。
そして事あるごとに
呼び出してはデートのように楽しんだ。
彼女にするつもりで
買い物したり
飲みに行ったり
ずっと河南としたいなって
夢見てたことを
1つずつ塗り潰して行った。
河南の笑顔が好きや。
俺の隣の河南が丁度よくて
次に会う時には
想いを伝えるつもりだった。
ツアーとかですぐに会うことが出来なくて
会いたくて連絡を取ろうとした矢先に
こんなのってありえへん。
本当は手だって繋ぎたかった。
抱き締めたかった。
何でメールの一言だけなん?
実家に帰ることになりましたって。
楽しい思い出をありがとうって。
河南、せっかく再会したのに
お前はそれでええん?
なあ、俺は嫌やで。
それなのに神様は残酷やん。
行ってしまうなんて。
また手が届かなくなってしまったな。
横なぶりの雨が記憶を戻していた。ー
あの日、河南と再会した俺は
ずっと河南だけを見ていた。
10年ぶりの河南は大人の色気をまとい
幼いころの面影は笑顔だけ。
ラルクのKenだと人気を征するも
話にも乗れない若い会話にはついて行けなくて
カウンターに座った。
こんな所にいてもいいの?って河南が言うけれど
こんな所に来たから
お前に会えたやん。
河南に告白された時は
両手を万歳して
神様に感謝するくらい
内心は舞い上がった。
思春期も重なり
まだ彼女と呼べる前に
終わった時には
自分が情けなくて。
あの時、ちゃんと好きやって
伝えてやるべきやった。
若かったんやな俺も。
河南が苛められていた時も
本人は知らない理由を俺は知っていた。
大人びた河南に嫉妬する女子たちの苛めは
時には過激だったが
俺が味方すればまた過激になると自惚れて
通りすがりに声をかけるだけにしていた。
本当は守ってやるべきだったと今は後悔している
ドラッグストアで会った時は
フラフラになりながら薬を探す河南を放って置けなかった。
熱で涙目の河南に
まったくいつまで経っても
目が離せないやん
そう言いかけてやめた。
ファミレスで会った時には
河南は彼氏を連れてた。
でも河南と視線が合うたびに
連れの女よりも笑顔になれた。
あれから上京して
今に至るまで
河南を妄想して
作曲したこともあるほど。
俺の初恋の相手。
大人なんだし
独りで帰れるとむくれた河南に
お前は女やろって
そばに置いておきたくて
かっこつけた俺。
昔から河南の連絡先さえ知っていれば
何度も話せたのにと思っていたから
今度こそは抜かりなく番号を交換。
そして事あるごとに
呼び出してはデートのように楽しんだ。
彼女にするつもりで
買い物したり
飲みに行ったり
ずっと河南としたいなって
夢見てたことを
1つずつ塗り潰して行った。
河南の笑顔が好きや。
俺の隣の河南が丁度よくて
次に会う時には
想いを伝えるつもりだった。
ツアーとかですぐに会うことが出来なくて
会いたくて連絡を取ろうとした矢先に
こんなのってありえへん。
本当は手だって繋ぎたかった。
抱き締めたかった。
何でメールの一言だけなん?
実家に帰ることになりましたって。
楽しい思い出をありがとうって。
河南、せっかく再会したのに
お前はそれでええん?
なあ、俺は嫌やで。
それなのに神様は残酷やん。
行ってしまうなんて。
また手が届かなくなってしまったな。