ノイズ(yukihiro)

あれから口実を作り
何度か友達に連れて行ってもらったが
あの笑顔に会えることはなかった。

やっぱりyukihiroさんだもん。

無理だよね。

yukihiroさんのいないクラブは
私にとってただの箱。

帰りのコンビニで
美味しそうな新発売のチョコを見つけた。

そう言えば
yukihiroさんもチョコが好きなんだっけ。

手を伸ばすと
男の人のごつい手とぶつかった。

「すみません」

慌てて手を引っ込めた。

『ねぇ』

この声・・・

慌てて顔を上げた。

『やっぱり、この間の』

会え・・・た。

そしてまた
あの笑顔を向けられた。

同じ帰り道。

自然に隣を歩いている。

『彼氏いるの?』

yukihiroさんは私の右手を指す。

彼氏とのペアリング。

「yukihiroさんも彼女いるんですよね」

この間のモデルさんみたいな。

『名前、聞いてなかったよね』

「河南です」

お互いのパートナーについての返事はない。

『ユキでいいから』

分かれ道。

「私こっちなんです」

yukihiroさんとは逆方向を指を指す。

『明後日、また行くから来てよ。10時』

笑顔でうなずいたら
yukihiroさんも笑ってくれた。

約束が出来たことに
胸が高鳴る。

私の気持ちはyukihiroさんに傾いているけど
ただyukihiroさんと出会っただけで
別に浮気しているわけではない。

そう自答している。
3/15ページ
スキ