MEMORIES(hyde)

ー河南sideー

アゲハがhydeさんに言ったことは事実。

アゲハを助けるために
私は男たちに
その身を捧げた。

女を生き延びるための道具にした。

一晩中遊ばれて
気付いた時には
頭元にあった拳銃で
全員を殺していた。

無我夢中で川で体を洗った。

男の体液も
返り血も
火薬の臭いも。

でも決して洗い流すことは出来なかった。

今もずっと記憶の中で
鮮明に再生される。

汚れきっているこの体を持って
日本になんて帰れるはずもなく
行き場を失って
体裁良くここにいる。

理由はどうあれ
罪は罪のまま。

hydeさんに抱き締められながら
思い出すのはそのことばかり。

これ以上
私に触ったら
あなたまで汚れてしまう。

もうこれでおしまいにする。

あの時
泣けなかった自分が
今やっと泣けた。

でもアゲハの言う通り
私はあなたにふさわしくない。

翌日の撮影には立ち会わなかった。

hydeさんの顔が見られないから。

私の顔を見せるわけにはいかないから。

何もなく
そのまま日本に帰って。
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