僕の彼女シリーズ(ALL)

退院が予定より少し延びたけど
明日からはまた甘い香りに包まれるかと思うと
嬉しくて堪らない。

朝からお店に行くと
すでに鍵は開いていて
美鈴ちゃんが忙しくしていた。

河南さん、ダメですよ!
二階に居て下さい。
そう注意されてしまう。

麻帆ちゃんと七瀬ちゃんが来ると
カレーのいい匂いに食欲をそそられる。

私は二階で売り上げ報告を見ながら
試食を始めた。

これはなかなかに美味しいカレーだ。
びっくりしてしまった。

コーヒーとチョコレートがコクを出している。
特徴的なのはビーンズカレーということ。

人参のマリネと雑穀米で
経費も削減出来ているし売り上げは上々で
言うことはない。

美鈴ちゃんの新作も上々だ。

あれ?
私、いらない?

ふとよぎってしまった。

これはヤバい。
皆に越されちゃうな。

テーブルに並べられた新作達を見て
私はちょっと店から出た。

すぐ隣の八百屋。

あら、河南ちゃん。
そう言うのは八百屋のおばあちゃん。

この八百屋さん
夫婦でもう年で大変だから辞めようかなと
以前から言っていた。

ねぇ、おばあちゃん
このお店、私に売って下さい。

そして八百屋は辞めても
うちに野菜を仕入れてくれないかな?

そうしたら老後も安泰だよね?

そしてhydeと
不動産に詳しいてっちゃんを呼んで
すぐに契約した。

だけどhydeからは怒られた。

またこんなに忙しくして
店より体が大事!!と。

うん
だから、新しく何人か雇っていい?

ぐうを言わせない河南の笑顔に
hydeは頷くしかなかった。

程なくして河南は悩んでいた。

どうしたんですか?
七瀬の問い掛けに応じる。

求人だそうか迷ってるんだよね。

何故ならここにはラルクの面々がいるから。

秘密を守れる人を求人するのって難しいよねと
河南から出されるため息を受け止めたのは
美鈴だった。

確か八百屋のおばあちゃんのところに
野菜ソムリエの勉強してるお孫さんいましたよね?
アルバイトしながら勉強してるって
一度会ったことありますよ。

そんな話を聞いて放っておけるはずもなく
すぐに連絡をして会える手筈を整えた。

あとはフロア係りとか欲しいよね。

麻帆は言いにくそうに話があると
まだ悩む河南に切り出す。

そしてリフォームされた八百屋さんは
野菜ソムリエの作るスープカレーと
ビーンズカレーをメインメニューに
野菜スムージーと旬の野菜を買えるお店として
早くも上々なスタートを切った。

野菜ソムリエの資格を取得した彼女を中心として
麻帆の妹の麻耶がフロア係り。

河南も本格的に復帰し
今やラルクより忙しい彼女たちである。

うちの彼女、やり手過ぎて困る。
そうメンバーに愚痴ったと
Kenちゃんが爆笑しながら教えてくれた。

                 ー完ー
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