僕の彼女シリーズ(ALL)
私が一目惚れした彼は
あまり姿を現さない。
河南さんに会いたいのを抑えて
抑えた気持ちを高揚させてから
きっと会いに来る。
自分の気持ちを抑えてるなんて
私なら堪えられない。
hydeさんから奪ってしまえれば楽なのに。
連絡先も知らない彼を私はただ待つだけ。
次にKenさんに会ったのは
そんなことも忘れかけた頃。
少し疲れている様子だった。
頼まれてもいないのに
私は美鈴さんのショコラを出した。
「お疲れですね」
するとKenさんは言った。
『片想い・・・止めようかな』
「それなら私が立候補してもいいですか?」
ショコラを食べながらKenさんは
私が放った言葉を無言で飲む。
だけどトレーを持つ私の手を
そっと握ってくれた。
言葉ない仕草だけど嬉しくて
夢のようだった。
少しだけ・・・
少しだけ期待してもいいですか?
その言葉は言えなかった。
Kenさんにとって私は
河南さんの店の従業員。
ただの従業員が河南さんとKenさんの間を
割って入ることなんて出来ない。
だけどKenさんへの想いは日に日に積もるばかり。
切ない顔ばかりのKenさんを見るのはもう嫌で
私には笑ってほしい。
河南さんに向けたあの優しい笑みを私も欲しい
そう思いながら街を歩く定休日。
セレクトショップの前で愛しのKenさんを見つけた。
顔が見たくて嬉しくて
入ったことのないショップに勢いで入ってしまった。
「Kenさん!!」
スタッフもKenさんも一斉に私を見る。
『麻帆ちゃん?』
しまった・・・
私が赤くなるのと笑いが起こるのと同時。
『俺、演歌歌手じゃないんやから
Kenちゃんでええって』
『相変わらず麻帆ちゃん元気』
そう言う女性の声。
河南さんだ。
何で河南さんが?
Kenさんと河南さん・・・
そう思ったら自然と涙が出た。
「河南さん、ズルいですよ」
河南さんにはhydeさんがいるのに
何で河南さんはKenさんの気持ちをもて遊ぶの?
『麻帆ちゃん、ちゃうって』
河南さんを庇うようにKenさんが言う。
私は河南さんに誘導されて隣の喫茶店に入った。
私の前にはKenさんと河南さん。
まるで私が怒られるんじゃないかと思う位置。
麻帆ちゃん、よく聞いて
そう河南さんの話が続く。
『私、Kenちゃんの気持ち分かってた』
Kenさんが河南さんを好きなこと。
『だけどね、私からKenちゃんに言えないじゃん』
hydeがいるから諦めてなんて言えるわけないから
自然に接するしかない
そう言っていた。
『俺さ、この前、河南ちゃんに告白した』
ダメなの分かっててケジメを付けたかった
Kenさんの顔は真面目に私を見ている。
河南ちゃんとは友達
それ以上でも以下でもないと。
『それで都合良すぎるかもしれんけど
好きな子できたん』
えっ?
好きな人・・・
もう何も言えない。
私の片思いは片思いのままかもしれない。
下を向く私に
麻帆ちゃん顔上げてと
河南さんが優しく誘導する。
『私、麻帆ちゃんの気持ちも分かってた』
私がKenさんを好きなこと。
『麻帆ちゃん、お誕生日おめでとう』
そう河南さんが可愛らしいラッピングの袋を
テーブルに置いた。
『Kenちゃんも、お誕生日おめでとう』
色違いの同じ袋をKenさんの前にも。
『少し早いけどね』
そして河南さんはhydeと約束があるから行くねと
にこやかに帰ってしまった。
わけが分からない。
今の私は呆気に取られて目を丸くしているに
違いない。
咳払いをするKenさんに向き直す。
「お誕生日なんですか?」
『まあね、自分もやろ?』
テーブルに置かれたプレゼントを見る。
自然に手がプレゼントを開ける。
Kenさんも開けている。
中から出てきたのはお揃いタイプの腕時計だ。
河南ちゃんらしいとKenさんが笑う。
『麻帆ちゃんの誕生日とさ俺の誕生日
一緒なんだよね』
「11月28日・・・」
河南ちゃんがね麻帆ちゃんに誕生日プレゼント
買ってあげたらいいじゃんって
それで今日買い物してたんよねと
Kenさんはコートのポケットを探っている。
『これ・・・』
長細い箱にリボンがされているそれを
テーブルに置かれた。
仕事場、ピアスはダメだって河南ちゃんに言われて
これにしたんだけど
気に入ってくれる?と
あの憧れてた優しい笑みをKenさんは見せてくれた。
私が欲しかったあの笑顔。
今度は嬉しくて涙が出る。
『ちょっ!』
慌てるKenさんの顔も好きで
泣きながら笑った。
開けてみてと催促されてプレゼントを開ければ
素敵なネックレスだった。
『俺こそ立候補していいかな』
今・・・何て?
前に麻帆ちゃんが立候補してもいいですか?って
聞いてくれたやん?
あのときは返事も出来なかったけど
俺こそ麻帆ちゃんの彼氏に立候補してもええかな?
優しい優しい笑みの持ち主は
私の大好きなKenさんの笑顔。
「よろしくお願いします」
いらっしゃいませ
いつもの制服に揺れるネックレス。
Kenさんがいつもいるように感じる。
幸せが溢れるパン屋。
そこはいつも笑顔が絶えない空間。
私が大好きな場所。
ーfinー
あまり姿を現さない。
河南さんに会いたいのを抑えて
抑えた気持ちを高揚させてから
きっと会いに来る。
自分の気持ちを抑えてるなんて
私なら堪えられない。
hydeさんから奪ってしまえれば楽なのに。
連絡先も知らない彼を私はただ待つだけ。
次にKenさんに会ったのは
そんなことも忘れかけた頃。
少し疲れている様子だった。
頼まれてもいないのに
私は美鈴さんのショコラを出した。
「お疲れですね」
するとKenさんは言った。
『片想い・・・止めようかな』
「それなら私が立候補してもいいですか?」
ショコラを食べながらKenさんは
私が放った言葉を無言で飲む。
だけどトレーを持つ私の手を
そっと握ってくれた。
言葉ない仕草だけど嬉しくて
夢のようだった。
少しだけ・・・
少しだけ期待してもいいですか?
その言葉は言えなかった。
Kenさんにとって私は
河南さんの店の従業員。
ただの従業員が河南さんとKenさんの間を
割って入ることなんて出来ない。
だけどKenさんへの想いは日に日に積もるばかり。
切ない顔ばかりのKenさんを見るのはもう嫌で
私には笑ってほしい。
河南さんに向けたあの優しい笑みを私も欲しい
そう思いながら街を歩く定休日。
セレクトショップの前で愛しのKenさんを見つけた。
顔が見たくて嬉しくて
入ったことのないショップに勢いで入ってしまった。
「Kenさん!!」
スタッフもKenさんも一斉に私を見る。
『麻帆ちゃん?』
しまった・・・
私が赤くなるのと笑いが起こるのと同時。
『俺、演歌歌手じゃないんやから
Kenちゃんでええって』
『相変わらず麻帆ちゃん元気』
そう言う女性の声。
河南さんだ。
何で河南さんが?
Kenさんと河南さん・・・
そう思ったら自然と涙が出た。
「河南さん、ズルいですよ」
河南さんにはhydeさんがいるのに
何で河南さんはKenさんの気持ちをもて遊ぶの?
『麻帆ちゃん、ちゃうって』
河南さんを庇うようにKenさんが言う。
私は河南さんに誘導されて隣の喫茶店に入った。
私の前にはKenさんと河南さん。
まるで私が怒られるんじゃないかと思う位置。
麻帆ちゃん、よく聞いて
そう河南さんの話が続く。
『私、Kenちゃんの気持ち分かってた』
Kenさんが河南さんを好きなこと。
『だけどね、私からKenちゃんに言えないじゃん』
hydeがいるから諦めてなんて言えるわけないから
自然に接するしかない
そう言っていた。
『俺さ、この前、河南ちゃんに告白した』
ダメなの分かっててケジメを付けたかった
Kenさんの顔は真面目に私を見ている。
河南ちゃんとは友達
それ以上でも以下でもないと。
『それで都合良すぎるかもしれんけど
好きな子できたん』
えっ?
好きな人・・・
もう何も言えない。
私の片思いは片思いのままかもしれない。
下を向く私に
麻帆ちゃん顔上げてと
河南さんが優しく誘導する。
『私、麻帆ちゃんの気持ちも分かってた』
私がKenさんを好きなこと。
『麻帆ちゃん、お誕生日おめでとう』
そう河南さんが可愛らしいラッピングの袋を
テーブルに置いた。
『Kenちゃんも、お誕生日おめでとう』
色違いの同じ袋をKenさんの前にも。
『少し早いけどね』
そして河南さんはhydeと約束があるから行くねと
にこやかに帰ってしまった。
わけが分からない。
今の私は呆気に取られて目を丸くしているに
違いない。
咳払いをするKenさんに向き直す。
「お誕生日なんですか?」
『まあね、自分もやろ?』
テーブルに置かれたプレゼントを見る。
自然に手がプレゼントを開ける。
Kenさんも開けている。
中から出てきたのはお揃いタイプの腕時計だ。
河南ちゃんらしいとKenさんが笑う。
『麻帆ちゃんの誕生日とさ俺の誕生日
一緒なんだよね』
「11月28日・・・」
河南ちゃんがね麻帆ちゃんに誕生日プレゼント
買ってあげたらいいじゃんって
それで今日買い物してたんよねと
Kenさんはコートのポケットを探っている。
『これ・・・』
長細い箱にリボンがされているそれを
テーブルに置かれた。
仕事場、ピアスはダメだって河南ちゃんに言われて
これにしたんだけど
気に入ってくれる?と
あの憧れてた優しい笑みをKenさんは見せてくれた。
私が欲しかったあの笑顔。
今度は嬉しくて涙が出る。
『ちょっ!』
慌てるKenさんの顔も好きで
泣きながら笑った。
開けてみてと催促されてプレゼントを開ければ
素敵なネックレスだった。
『俺こそ立候補していいかな』
今・・・何て?
前に麻帆ちゃんが立候補してもいいですか?って
聞いてくれたやん?
あのときは返事も出来なかったけど
俺こそ麻帆ちゃんの彼氏に立候補してもええかな?
優しい優しい笑みの持ち主は
私の大好きなKenさんの笑顔。
「よろしくお願いします」
いらっしゃいませ
いつもの制服に揺れるネックレス。
Kenさんがいつもいるように感じる。
幸せが溢れるパン屋。
そこはいつも笑顔が絶えない空間。
私が大好きな場所。
ーfinー