僕の彼女シリーズ(ALL)

悩んだ末
七瀬ちゃんと連絡をとると
力ない暗そうな声が耳に入ってきた。

『どうしたん?』

俺は気付いていなかった。

自分の気持ちばかりで
七瀬ちゃんの気持ちを考える余裕がなかった。

いつもはこんなことがないのに。

リーダーとして根回しに気遣いに
完璧にこなしていたはずなのに
彼女に対しては
根回しも気遣いも出来ていなかった。

そんな不甲斐ない自分に怒りを覚えながら
急いで七瀬ちゃんのアパートへ向かう。

インターホンを鳴らしても応答なく
ダメ元で手をかけたドアが開く。

間取りはもう分かっている。

うずくまったままの君を見つける。

『七瀬・・・ちゃん』

そっと手を伸ばすとビクリと跳ねる肩。

硝子を扱うように包み込む。

『ごめん・・・』

堰(せき)を切ったように流れる涙をぬぐう。

「私・・・妹なんて嫌です」

たくさん不安にしたこと謝るよ。

今の俺にとっては妹なんかじゃなく
もっともっと大切にしたい人。

いつからかな
七瀬ちゃんが隣にいることが当たり前で
いないと分かると寂しくて
恋人はいらないと言い聞かせて
妹みたいだと言い聞かせて
だけどダメなんだ。

お前じゃないと俺も笑顔にならない。

根回しよりも気遣いよりも
もっともっと大切なこと。

君の涙が気付かせてくれた。

妹なんかいらない。

結局、俺も君に恋をして
hydeやユッキーと同じように
パン屋の二階に転がり込んだ。

俺の彼女はバリスタ。

そのコーヒーのラテアートが
携帯のアルバムを汚染していく。

-fin-
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