僕の彼女シリーズ(ALL)

手を握って逃げられたあと
懲りもせずに行った。

『美鈴って呼んでいい?』

俺の中では軽く告白したつもり。

それなのに
美鈴は何もなかったように接してくる。

何日も何日も。

友達でもなく
恋人でもなく
ただhydeくんのメンバーとして。

『気付けよ!俺の気持ち』

ついに爆発した。

ただ不精な言葉足らずの
俺の気持ちが分かるはずないよな。

分かっているのに
伝え方が分からずに苛立って
美鈴に八つ当たりした。

俺の怒鳴り声を聞いて
持っていたお盆がカタカタ鳴る。

泣きそうな美鈴。

「仕事へ戻ります」

震える手を押さえながら
美鈴は下へかけて行ってしまった。

『くそっ!』

こんな二人の始まり。

『さっきは悪かった』

帰り際、美鈴に謝る。

無言のまま立ち尽くす美鈴に
半ば諦めた気持ちを隠して
頭を撫でて俺は立ち去ろうとした。

俺の袖口を引っ張る美鈴。

息を飲んで何も言えないでいる。

『どうした?』

美鈴に優しい笑みを向けると
美鈴が俯(うつむ)きながら言った。

「好き・・・です」

同調した。

俺の気持ちには
なかなか気付いてもらえなかったけど
同じ気持ちにリズムが軽快になる。

店の裏口がある路地裏。

美鈴を抱き締めていた。

『離さないから覚悟して』

「はい・・・」
9/21ページ
スキ