僕の彼女シリーズ(ALL)

僕の彼女はショコラティエ


『これ、うまい・・・』

hydeくんがくれたチョコレート。

今までのとは違う口当たりに
一度でやみつきになってしまった。

hydeくんの彼女
河南ちゃんのお店のチョコレートらしい。

パン屋さんじゃなかったっけ?
そう聞くと
パティシエを目指していた子が
求人に引っ掛かり
河南が試しに色々作らせたら
ショコラの腕が良かったらしく
試作品を作ったから
ユッキーに食べて貰おうと思って持ってきたと
hydeくんに言われた。

『うん、やっぱりうまいよ』

二個目を食べたところで確信する。

このチョコレートに惚れた。

どんな子が作っているのか気になるのも本音。

オフを利用して
河南ちゃんのお店に顔を出した。

女の子ばかりのお店に男一人で入るのは
抵抗がある。

店の前を右往左往する所を見られていたのか
河南ちゃんが出てきて裏口から
そうそっと伝えられる。

裏口から入ると階段上がってと言われて
階段を上がる。

来ると思ったとそう言われて
そこには作詞しているhydeくんの姿。

『やっぱり帰ろうかな』

何だか気まずい気持ちになる。

後ろから笑いながら河南ちゃんが来る。

座ってと促されて座るとhydeくんの前。

お盆からチョコレートとコーラが出てくる。

パン屋さんだからパンも食べてね
そう言われて小さく切られたパンも並ぶ。

後で連れてくるからと戻っていった。

忙しそうなランチタイムが過ぎると
hydeくん用のコーヒーと
俺のコーラのおかわりを持って
河南ちゃんが来た。

緊張しないで、ほらと
河南ちゃんが誰かを呼ぶ声。

「こんにちは」

hydeくんは何度か会っているらしくて
反応は薄い。

『こんにちは』

無言が続く。

二人とも人見知りしすぎじゃない?
笑いながら河南ちゃんがhydeくんの横に座る。

ショコラどうだった?
全部新作なんだけど感想聞かせてくれる?
河南ちゃんの質問と同時に
追加のチョコレートがテーブルに並ぶ。

「どうぞ」

彼女が並べた幾つかのチョコレートの中から
無難な四角いのを選ぶ。

苦味と甘さのバランスが絶妙な
ビターガナッシュが虜にさせる。

『うまいと思うよ』

「本当ですか?!」

彼女の嬉しそうな笑顔にも
虜になってしまった。

それからはユッキーのお墨付きだと
河南ちゃんがパンとショコラのランチセットを始めた。

彼女のショコラは瞬く間に女の子を虜にして
hydeくんが河南に会えないと嘆くほど。

裏口から二階に上がると
パンとチョコレートの香りが鼻をかすめる。

俺には河南ちゃんに悪いがパンよりも
チョコレートの方が勝っている。

彼女がチョコレートとコーラを持ってくる。

『名前・・・』

聞いてなかったことに気づく。

「美鈴です」

緊張からか下唇を噛む彼女が可愛くて
思わず笑った。

『可愛いじゃん』

美鈴ちゃん・・・か。
興味が沸く。
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