何も告げないまま帰国し、
渡された紙を見ながら
店を探す。

まだ開店していない
小さなお店は
あたたかい雰囲気が
外からでも伝わる。

不思議な感覚。

すると携帯電話が鳴った。

画面にはhydeの文字。

「もしもし？」

『帰ってくるなら
ちゃんと連絡せえ！』

えっ？
何で分かるの？

あたふたしていると
電話を片手に
道路を横断してくるhydeが見える。

『迎えに行ったんに』

そう言いながら
私の髪をくしゅっと撫でた。

驚かせたかったの。

今までhydeがしたように
今度は私が突然に。

店の鍵を開けて
中に入るhydeに続く。

可愛らしいカウンターに
ショーケース。

テイクアウト用のコーヒーの機械などが並ぶ。

裏口の秘密の階段から
二階に上がる。

一階からは見えないのに
二階からは一階が良く見える。

大きめなシックなソファに
レトロなテーブル。

その横にはベッドと
クローゼットと住居スペースのよう。

まるでhydeの家のように
知り尽くして
私を案内してくれる。

『河南の店だよ』

ずっと
１年前から店を作っていた。

そうhydeの口から聞いた。

唖然としている私に
更にhydeが言う。

『自信あったんよね』

私がhydeの元に戻る自信。

そんなこと
世の中で貴方しか言わないよ。

涙が出る。