距離(kaz)

『時間かかりすぎたよね』

頷くことしか出来ない。

『それでも迎えに来た』

ダメだよ。

私は寂しくないって言えない。

寂しいって言っちゃうかもしれない。

KAZを困らせるかもしれない。

『今まで待たせた分
わがまま言ってよ』

「待たせすぎだよ」

もう我慢出来ない。

やっぱり素直になろう。

本当は大好きで
本当はずっと片想いなんて出来ない。

溢れすぎた感情を
KAZが全部受け止めてくれる。

juーken あれってプロポーズっすか?

arimatsu 彼女気づいてる?

jin 言葉足らずだね。

hyde だってKAZだもん。

埋めるようにずっとキスをしていた。

キスをしながら会話をする。

『一緒に来ればいいのに』

「ここがなくなってもいいの?」

『それは嫌だ』

KAZの原点を守りたい。

たとえKAZが毎日一緒にいなくても
通じあった気持ちがあれば安心する。

私が寂しいと言えば
KAZはきっと来てくれる。

寂しくないとは言わない。

今までの空白を埋めるように
わがままを言おう。

寂しくなったら会いに行けばいい。

私が足りなくなったら
ここに来ればいい。

お互いの居場所を守るため
離れているのが私とKAZのちょうどいい距離。

「寂しくなったから会いに行ってもいい?」

電話の向こうの愛しい声。

『俺も足りなくなったから来たんだけど』

薄暗いカウンターの中。

振り替えればステージにいるのはKAZ。

スポットライトが二人を照らす。

「おかえりKAZ」

『ただいま』

ー完ー
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