レーズンバター(hyde)

二人が出会ったBARは
右側には新築の大きなデザイナーズマンションが建ち
左側には少し古い三階建てのマンションに挟まれている。

それでも隠れ家的存在の小さなBARは
50代前半だろうマスターのお店。

仕事帰りによく寄る店の名前は「OWL」

夜更かし…
梟…

そこでレーズンバターを二人の間に挟み会話を楽しむ。

二人の思い出のカクテルは
淡いすみれのような紫色の
パルフェタムールを使った
ヴァイオレットフィズ。

すみれの花言葉は謙遜だが
パルフェタムールはフランス語で完全なる愛。

変わったのは
彼女の住まいが右側のデザイナーズマンションになったこと。

カウンターしかないその店の奥には
存在の大きなグランドピアノが一台
凛と置いてある。

そして年に一度
ピアノの上に新紅の薔薇が飾られる。

☆完☆
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