レーズンバター(hyde)

河南の会社に
突然hydeのマネージャーが来た。

「もう限界なんです」

あの夜の出来事から
更にhydeの苛立ちはピークになり
仕事にならないため
自宅に帰ってしまったのだという。

マネージャーも邪険に扱えない例の彼女に手を焼いていたことを認めて
河南に救いを求めてきた。

夜、hydeの部屋を訪れた河南。

ベルを鳴らしても応答がなく合い鍵を使った。

hydeの部屋は足の踏み場がないほど荒れていた。

リビングに放置された携帯が音を立てずに光っている。

不在着信には寒気が立つほどの件数。

きっと彼女だろうか。

開け放たれた寝室のドアから覗くと規則正しい寝息を立てているhydeの姿。

部屋を片付けながら
食事を作り
暖かいお風呂も入れて
珈琲を立てた。

起こすのは気が引いたが
痩せてしまったhydeに
少しでも食べてほしくて
起こすことにした。

hydeの伸びた髪をそっと撫でる。

起きる様子もないので
リビングで待つことにした。

光りっぱなしだった携帯は充電が切れてしまったようだ。
33/37ページ
スキ