affanno
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いつも通りの平穏な日々一つ違うとすれば今日は雨というところだろうか、私は母程酷くないがそれでも中々の癖毛であり雨は好きだが湿気は大嫌いだ。
今日もそんな髪にうんざりしつつも帰路を歩く。
前方に見覚えのある人が見え徐々に縮まる距離にこんにちは博士と声をかけた。
声を掛けられた彼は酷く驚いてこちらを振り返る。
「何じゃ凪沙君か脅かさんでくれ」
「すいません。珍しいですね。仕事ですか?」
「あぁ今日はちょっと用事があっての」
それからはたわいもない会話をして並んで歩いた。博士の家と隣の私の家が徐々に見えるそれに伴い自分の家の前に何かが落ちてるのも見える思わず目を凝らすとそれは人だった。
少しだけ驚くもすぐ駆け寄るとそこには小さな女の子が倒れていた。
彼女の纏う服は身の丈に合わない大きさで先日兄の話を思い出した。
もしや彼女は兄の正体を分かってわざわざここまできた?だとしても何故彼女まで幼児化している。頭の中でぐるぐるを無理やり止めた。
「博士この子兄さんと同じかもしれない。」
「何じゃと?!」
「可能性の話でもたぶんそう」
「と、とりあえずワシの家に運ぼう凪沙君すまんが鍵を開けてくれ」
彼女の言葉に動揺を見せる彼だったが。どちらにせよこのままにしておくわけにも行かず身の丈に合わない大きな白衣を纏った少女を抱き上げた。
念のため彼女の家ではなく彼の家に少女を連れていくとリビングのソファに彼女を寝かせた。
「…それにしてもどうするかのぉ」
「んー、とりあえず私家から着替え持ってきますね。後この事兄さんには言わないでくださいね絶対」
「あ、あぁ」
困った様に頭を掻く彼に語尾を少し強調するように言うと一度彼の家を出て隣の自宅へ戻る自分の幼少期の服を適当に何着か見繕いながら考えることは兄の事だ。万が一何か、あってからでは遅い。だから兄には悪いが私は一度彼女と話してからどうするか決める。
正直言って怖いでもそれ以上に兄を失う事の方が私は怖い。
小さく深呼吸をして家を出る。向かうは博士の家
「戻りました。博士、バスルーム借ります。小さいと言えども女の子なので着替えさせてきます。」
「すまんな、凪沙君助かるよ」
チャイムも無しにガチャリと扉を開けリビングへ戻ると彼女の反対のソファに座る彼に一声掛けた。
抱え上げる彼女は思いのほか軽くて少し驚いた。まだ眠ったままの彼女をバスルームへ運びタオルをお湯に濡らして簡単に体を拭いてからワンピースを着せた、リビングへ戻る彼女はまだ目覚めない。
どれくらい時間が経っただろうか漸く目を覚ました彼女。
「こ、ここは…」
「工藤低の隣の家阿笠低です。」
私の声に酷く驚いた彼女は肩を跳ねらせ怯えたように体を縮めこちらを見る。
「君は工藤低の前に倒れていたんじゃよ」
「すみませんけど工藤新一なら今居ないのは貴方ならご存じでは?」
優しく話す彼とは裏腹に隣に座っている彼女は刺すような瞳で淡々と私の確信をついて来た。彼女の事は資料で見た工藤凪沙恐らく私の予想通り工藤新一は幼児化して私と同じように生きている。
それを目の前の彼女は知っていて私を警戒しているというところかしら。
「えぇそうよ、やっぱり彼は生きていたのね。」
「…貴方は敵?」
「ふっ心配しなくても私は彼に危害を加えるつもりはないわ私は組織を裏切ったんだもの」
彼女の言葉からすると中身は年上だろう余裕のある笑みを浮かべて彼女は静かに話し始めた。
両親が元々組織の人間で彼女が生まれて少ししてなくなってしまったという。その後彼女は組織という檻の中で育てられ両親の後を継ぎ研究を続けていたそうだ。しかし姉を失い研究していた薬が実は毒薬とは知らずに研究していたこと、組織を抜けようとしたが仲間に捕まり死を覚悟して持っていた薬で死のうと飲んだ結果体が幼児化したこと、そして工藤新一の生存が不明である事を知っていた彼女はもしかしたら彼も幼児化していると思い彼を頼る為に工藤低を訪ねたことを話した。
「やはり凪沙君の言う通り新一と同じじゃな」
「貴方はこれからどうするつもり」
「さぁどうしようかしら」
「何処か行くところは…?」
「身寄り何て居ないわだから彼の所に来たの。」
「そう…博士」
私の言葉に頷いた彼は彼女に此処に住む提案をしたこれは彼女が寝ている間に元々博士と決めていたことだった。もし彼女が敵でないとしたらこちらで保護した方が得策だ。兄の事もある為警察にも突き出せない。聞いた話彼女は研究者だ兄の強い味方になるだろう。
博士の言葉を聞いた彼女は初めは驚いたようだがやがて少し考えてから小さく頷いた。
「それじゃあ改めて自己紹介。私は工藤凪沙工藤新一は私の兄さん宜しく」
「貴方達は随分お人好しな様ね、でも…助かったわ
私は組織ではシェリー、本名は宮野志保よ。そうね…灰原哀とでも呼んでちょうだい。」
「何君が居ればもしかしたら解毒薬の事も解決するかもしれんしなワシは阿笠博士じゃ宜しく哀君」
「それじゃあ博士私帰るね兄さんについては博士に任せるよ」
「そうじゃな、わかった任せてくれ。」
お互い自己紹介も終われば彼女は腰を上げ玄関へ向かう、そういえばと自分の服を見ればほぼサイズがぴったりのワンピース恐らく彼女が私の着替えを用意してくれたのだろう。警戒しているとは裏腹の彼女に少し気が緩んだ小さな足で彼女の後ろをついて玄関に向かい小さく服のお礼を言った。
すると彼女はほんの少しだけ口角を上げどういたしまして。と言えば続けて哀さん兄さんを宜しくね。の言葉を残して彼女は隣へ帰ってしまった。
本当なら私を怒る所だろうそれをまだ年端もいかない彼女は静かにそれを受け止めた。兄が小さくなって帰ってきた彼女の気持ちは正直わからない。それでも私を助け介抱してあまつさえ保護した彼女に少しの罪悪感とこれから仲良く出来たらいいと思えた。