魔滅撒きたりて福来たる(白夜叉)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「知ってる? 節分の豆は『魔滅』とも書くの。魔を滅する……災厄を払う力があるんだよ」
「だから何だってんだよ」
「今日は二月三日の節分。今ここで豆を撒いた事で、白夜叉を覆ってる戦場の邪気は払われて、命の危険も減ったんじゃ無いかな。ついでにこの豆は私の年の数だけあるから、きっと私の分まで君に福がやって来るよ」
「さすがに落ちた豆は食べられないけどね」と肩を竦めてみせると、白夜叉は驚いた顔で私を見つめる。
「やだなぁ、そんな顔しないで。……でもやっぱ子供っぽい?」
我ながら少し恥ずかしくなり、視線を逸らす。多分顔も赤くなっているだろう。
そんな私に彼は言った。
「……んな事ァねェよ。お前の大事な豆だってのに、俺に使わせて悪かったな」
それはとても優しい声で、思わず顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、今まで見た事の無い柔らかな笑顔だった。
「なァ、一つ聞いて良いか?」
「何?」
「こんな風にしてくれたのは俺が攘夷志士で……白夜叉だからか?」
考えもしなかった質問がぶつけられ、答えに窮する。確かにそれも無いとは言えないが、一番の理由はそんな事では無かったから。
「それは……」
どう答えるべきかと迷っていた私だったが、向けられている切なげな瞳が胸を打ち、覚悟を決めた。
「大切だから」
彼の頬に手を伸ばし、触れる。
「私にとって君の存在は誰よりも必要だから……これからもずっと生きていて欲しいから、自分を犠牲にしてまで戦おうとしている君を止めたかったの。それが無理でもせめて、君を思っている人間がここにいるって事に気付いて欲しかった」
そう言って私は彼の頬に口付けた。唇に触れた治りかけのかさぶたと伝わってくる体温が、今彼がここで生きている事を伝えてくれる。と同時に我ながら大胆な事をしたと気付いて恥ずかしくなり、慌てて彼から離れようとすると、強い力で引っ張られた。想像よりも厚い胸板は日々の戦いで鍛え上げられたもの。
「なァ」
呼ばれて見上げれば、すぐ目の前に彼の顔。
「白夜叉じゃなくて、銀時って呼んでくんねェ? 俺の名前だから」
それは、初めて彼の口から聞かされた彼の名前。以前から知ってはいたけれど、本人から教えられてはいなかったので敢えてこちらからも聞かず、呼ぶ事も躊躇っていた。
「銀時」
少し緊張しつつ、初めてその名を紡ぐ。
「ん、もう一回」
「銀と……」
自分が求めたくせに、最後まで言わせてくれなかった彼の唇はとても情熱的で。私の存在を認めてくれたのだろうかと、秘かに自惚れた。
「お前の豆、効果抜群だな」
「ふふっ。じゃあ私は福の神の遣いかしら?」
「ちげェねェや」
顔を見合わせて笑えるのが嬉しくてたまらない。
「……サンキュ。何か色々と救われた気がするわ」
照れくさそうに頬を赤らめた銀時はそう言うと、私に再び唇を重ねたのだった。
〜了〜
《オマケ》
「それにしても、何で豆なんか持ってたんだ?」
「桂さんがくれたの」
「アイツ、変な所でマメだからなァ」
「豆だけに?」
「……オヤジか!」
「だから何だってんだよ」
「今日は二月三日の節分。今ここで豆を撒いた事で、白夜叉を覆ってる戦場の邪気は払われて、命の危険も減ったんじゃ無いかな。ついでにこの豆は私の年の数だけあるから、きっと私の分まで君に福がやって来るよ」
「さすがに落ちた豆は食べられないけどね」と肩を竦めてみせると、白夜叉は驚いた顔で私を見つめる。
「やだなぁ、そんな顔しないで。……でもやっぱ子供っぽい?」
我ながら少し恥ずかしくなり、視線を逸らす。多分顔も赤くなっているだろう。
そんな私に彼は言った。
「……んな事ァねェよ。お前の大事な豆だってのに、俺に使わせて悪かったな」
それはとても優しい声で、思わず顔を上げた私の目に飛び込んできたのは、今まで見た事の無い柔らかな笑顔だった。
「なァ、一つ聞いて良いか?」
「何?」
「こんな風にしてくれたのは俺が攘夷志士で……白夜叉だからか?」
考えもしなかった質問がぶつけられ、答えに窮する。確かにそれも無いとは言えないが、一番の理由はそんな事では無かったから。
「それは……」
どう答えるべきかと迷っていた私だったが、向けられている切なげな瞳が胸を打ち、覚悟を決めた。
「大切だから」
彼の頬に手を伸ばし、触れる。
「私にとって君の存在は誰よりも必要だから……これからもずっと生きていて欲しいから、自分を犠牲にしてまで戦おうとしている君を止めたかったの。それが無理でもせめて、君を思っている人間がここにいるって事に気付いて欲しかった」
そう言って私は彼の頬に口付けた。唇に触れた治りかけのかさぶたと伝わってくる体温が、今彼がここで生きている事を伝えてくれる。と同時に我ながら大胆な事をしたと気付いて恥ずかしくなり、慌てて彼から離れようとすると、強い力で引っ張られた。想像よりも厚い胸板は日々の戦いで鍛え上げられたもの。
「なァ」
呼ばれて見上げれば、すぐ目の前に彼の顔。
「白夜叉じゃなくて、銀時って呼んでくんねェ? 俺の名前だから」
それは、初めて彼の口から聞かされた彼の名前。以前から知ってはいたけれど、本人から教えられてはいなかったので敢えてこちらからも聞かず、呼ぶ事も躊躇っていた。
「銀時」
少し緊張しつつ、初めてその名を紡ぐ。
「ん、もう一回」
「銀と……」
自分が求めたくせに、最後まで言わせてくれなかった彼の唇はとても情熱的で。私の存在を認めてくれたのだろうかと、秘かに自惚れた。
「お前の豆、効果抜群だな」
「ふふっ。じゃあ私は福の神の遣いかしら?」
「ちげェねェや」
顔を見合わせて笑えるのが嬉しくてたまらない。
「……サンキュ。何か色々と救われた気がするわ」
照れくさそうに頬を赤らめた銀時はそう言うと、私に再び唇を重ねたのだった。
〜了〜
《オマケ》
「それにしても、何で豆なんか持ってたんだ?」
「桂さんがくれたの」
「アイツ、変な所でマメだからなァ」
「豆だけに?」
「……オヤジか!」
2/2ページ
