大人になったら(銀時)
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その後松下村塾はなくなり、銀時をはじめとする塾生たちとも疎遠になって、数年が経った頃。
「よォ、詩織。約束守ってもらいに来たぜ」
何の予告もなく、あの頃と変わらぬ白銀の天パと、あの頃とはすっかり変わった逞しい大人の様相で、彼はやって来た。ドキリと跳ね上がった心臓に気づかないフリをしながら、私は「……は?」と答える。
「は? じゃねェよ。約束してただろうが」
「突然現れてそんな事言われても……っていうか、約束って何の話?」
「おいおい、忘れてんなよ。銀さんはしっかり覚えてっからね。『大人になったら付き合う』って言ったのは詩織でしょーが」
「……あ!」
もう随分と昔の話だと言うのに。改めて言われ、驚きと同時によく覚えていたなと感心した。
「あ! じゃねェよ。ま、そういうことだから、今この瞬間から詩織は俺の女ね」
「え、いや、ちょっと待ってよ。いきなり現れてそんなこと言われたって、承諾できるはずないじゃない。っていうか、あれは『私より大人になったら』って条件だったでしょう?」
「あの時の詩織より、ずっと大人になってんぜ。ほれ、その証拠にーー」
「銀時!?」
私が彼の名を呼んだのは、抱き竦められた後だった。
「ちょっと、何の冗談?」
「まーだ言ってんのかよ。冗談じゃなくてほ・ん・き」
「でも私は今も変わらず、銀時よりずっと年上で……」
「ぶっちゃけ大人になったら、年なんて関係なくねェ? 要は大人としての広い心と大きな器を持ってるかってェ話だろ。幸い俺は、こうして詩織を抱きしめて尚余りある、でっけェ器を持ってっし」
「……それ、単なる体の大きさじゃない?」
「細かいことは気にすんなって」
「気にするわっ!」
久しぶりに会った気がしないほど、あの頃と変わらぬ気負いの無い関係が心地良く、頬が緩む。
私をすっぽりと包み込む腕は確かに大きくて、間違いなく体は大人へと成長していた。でもこうして触れているからこそ分かる小さな震えは、強気で強引な姿とは裏腹に、銀時らしさを伝えてくる。
だからこそ、思ってしまった。
『やっぱり私は、銀時に弱いなぁ。今更拒否なんてできないよね。……ううん、多分きっと、彼を見て心臓が跳ねた瞬間から、私の心は決まってたんだろうな』
ーーと。
「じゃあもっと別の形で、大人になった証拠を見せてくれる?」
意を決した私は、そっと銀時の胸を押して腕から抜け出し、顔を見上げた。
ゆっくりと目を瞑れば、聞こえてきた小さなため息。ひと呼吸置いた後、頬に大きな手が添えられる。熱い吐息に重なるように、更なる熱が私の唇を優しく塞げば、不器用な背伸びを感じた。
「大人まではあと一歩ってところかな?」
触れるだけのキスの余韻に浸りつつ、からかうように言うと、頬を染めながらも粋がる銀時。
「初めてだから、手加減したに決まってんだろーが。詩織が望むなら……いくらでも、大人な銀さんを見せてやるよ」
そう言って私に深く口付けた銀時の体からはもう、震えは消えていて。
ーー本当に、大人になったんだね。
そんな感慨にふけりつつ、大人の銀時に与えられる甘いしびれに、私は酔いしれたのだった。
〜了〜
「よォ、詩織。約束守ってもらいに来たぜ」
何の予告もなく、あの頃と変わらぬ白銀の天パと、あの頃とはすっかり変わった逞しい大人の様相で、彼はやって来た。ドキリと跳ね上がった心臓に気づかないフリをしながら、私は「……は?」と答える。
「は? じゃねェよ。約束してただろうが」
「突然現れてそんな事言われても……っていうか、約束って何の話?」
「おいおい、忘れてんなよ。銀さんはしっかり覚えてっからね。『大人になったら付き合う』って言ったのは詩織でしょーが」
「……あ!」
もう随分と昔の話だと言うのに。改めて言われ、驚きと同時によく覚えていたなと感心した。
「あ! じゃねェよ。ま、そういうことだから、今この瞬間から詩織は俺の女ね」
「え、いや、ちょっと待ってよ。いきなり現れてそんなこと言われたって、承諾できるはずないじゃない。っていうか、あれは『私より大人になったら』って条件だったでしょう?」
「あの時の詩織より、ずっと大人になってんぜ。ほれ、その証拠にーー」
「銀時!?」
私が彼の名を呼んだのは、抱き竦められた後だった。
「ちょっと、何の冗談?」
「まーだ言ってんのかよ。冗談じゃなくてほ・ん・き」
「でも私は今も変わらず、銀時よりずっと年上で……」
「ぶっちゃけ大人になったら、年なんて関係なくねェ? 要は大人としての広い心と大きな器を持ってるかってェ話だろ。幸い俺は、こうして詩織を抱きしめて尚余りある、でっけェ器を持ってっし」
「……それ、単なる体の大きさじゃない?」
「細かいことは気にすんなって」
「気にするわっ!」
久しぶりに会った気がしないほど、あの頃と変わらぬ気負いの無い関係が心地良く、頬が緩む。
私をすっぽりと包み込む腕は確かに大きくて、間違いなく体は大人へと成長していた。でもこうして触れているからこそ分かる小さな震えは、強気で強引な姿とは裏腹に、銀時らしさを伝えてくる。
だからこそ、思ってしまった。
『やっぱり私は、銀時に弱いなぁ。今更拒否なんてできないよね。……ううん、多分きっと、彼を見て心臓が跳ねた瞬間から、私の心は決まってたんだろうな』
ーーと。
「じゃあもっと別の形で、大人になった証拠を見せてくれる?」
意を決した私は、そっと銀時の胸を押して腕から抜け出し、顔を見上げた。
ゆっくりと目を瞑れば、聞こえてきた小さなため息。ひと呼吸置いた後、頬に大きな手が添えられる。熱い吐息に重なるように、更なる熱が私の唇を優しく塞げば、不器用な背伸びを感じた。
「大人まではあと一歩ってところかな?」
触れるだけのキスの余韻に浸りつつ、からかうように言うと、頬を染めながらも粋がる銀時。
「初めてだから、手加減したに決まってんだろーが。詩織が望むなら……いくらでも、大人な銀さんを見せてやるよ」
そう言って私に深く口付けた銀時の体からはもう、震えは消えていて。
ーー本当に、大人になったんだね。
そんな感慨にふけりつつ、大人の銀時に与えられる甘いしびれに、私は酔いしれたのだった。
〜了〜
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