いけない恋、危険なキス(土方)
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私達攘夷浪士の敵である真選組。その中の一人に、意中の男が居る。
名を、土方十四郎。
黙って立っていれば、誰が見てもレベルの高いイケメンの彼。だが常に咥えタバコで煙を体にまとわりつかせ、食材の全てに常軌を逸した量のマヨネーズをかけてしまうおかしな性質を持っている。時にはまるでスポーツドリンクか何かのように、喉を鳴らしてマヨネーズを飲むのだから、女達も自然と遠巻きに眺めるだけになっていた。
私もそれを初めて見た時は、さすがに驚いたけれど。ここまで振り切った姿を見せられると、むしろ見ていて気持ちが良かった。
最初は敵の情報を集めるために観察していただけだったのに。いつしか興味を持ってしまい、そこから好意へと発展してしまったと言うわけだ。
「マヨ四郎くん、今日も遊ぼっか」
「だ〜れがマヨ四郎だ! さっさと捕縛されろっての」
彼に会いたくなる度に、からかいに行く。
「テメェ詩織……待ちやがれッ!」
瞳孔全開で私を追いかけてくる彼に捕まらないよう、付かず離れずで逃げるのは本当に楽しくて。しかも彼の目には私しか映っていないのだから、独占欲まで満たされた。
「鬼さんこちら。手のなる方へ……っと」
今日もまたいつものように、二人きりの鬼ごっこを楽しむ。
できるだけ人の少ない路地を選びながら、足音の聞こえる距離で逃げ回っているとーー突如猫が足元に飛び出てきた。勢いで踏んでしまいそうになり、慌てて避けようとした私は、バランスを崩してしまう。
「……ッ!」
咄嗟に手を出したものの間に合わない。ドサリと地面に倒れた私は、強く肩を打ってしまった。さすがに痛みで動けず、ハッとした時にはもう、彼が目の前に立っていて。
「手こずらせやがって」
逃げようとした私の腕を、彼がしっかりと掴んだ。
「ようやく捕まえたぜ」
そう言って私を見下ろす彼の目は、まるで狼のように鋭く冷たい。だがそこには敵を捉えた喜びも含まれているように思えた。
「もう、やだなぁ。そんなに私を手元に置いておきたいの?」
「ふざけんな。とにかくもう逃がさねェからな」
「せっかくの二枚目さんなのに、そんな怖い顔してたら女の子にモテないぞ」
「モテようなんざ思っちゃいねェよ。無駄口叩いてねェで、さっさと来い」
何を言っても隙を見せない彼に、さすがの私も困ってしまう。確かに彼に興味はあれど、牢での逢瀬は望んでいない。
そこで私は一計を案じた。
「無駄口じゃないもん。好意だもん」
「あァ? 話が見えねーんだが」
眉間にシワを寄せ、呆れたように言う彼は、本当に分かっていないようだ。少し考えれば分かりそうなものだけどなぁ。何かしらの思いがなかったら、わざわざ危険を顧みず、敵の懐になんて入らない。
「つまりね、貴方が好きだって事」
「……はァ!?」
私の突然の告白に動揺したのか、彼の手の力が緩む。その瞬間を見逃さずに腕を抜けば、見事脱出に成功した。
少しだけ距離を取った私は、彼の捕縛から抜け出せた余裕から、得意げに言う。
「警察と攘夷浪士だなんて、いけない恋だよね〜。とんでもない火遊びだわ」
「ふざけんな! 俺は……」
「違うって言い切れる? いつだって私を見つけたら、人払いまでして自分一人で追いかけてるのに」
「それは、テメェ一人に人数を割く必要がねェから……」
「……ほんとにそうかなぁ?」
自由になった体で彼の懐に入り込んだ私は、ズイと彼に顔を寄せた。
「私への気持ち、全然無いって言い切れる?」
吐息のかかるギリギリの距離で彼を見つめる。でも、答えは返ってこない。だからーー。
彼の下唇をそっと食み、強引に答えを引き出そうとした。
触れた唇は想像以上に熱くて、思わず吐息が漏れる。そんな私に、彼は言った。
「俺は火遊びをする気はねェよ。いつだって真剣だ」
「……だから?」
「敵である真選組の副長に、キスしちまうようなやべェ女、野放しになんざできねェだろうが」
いつの間にか回されていた彼の腕が、私の腰を強く引き寄せる。逃れることを許さずに重ねられた唇は、やっぱり熱くて。
「……火傷しそう」
「骨の髄まで燃やしてやるよ」
そう言った彼は、私の全てを燃やし尽くす程に熱い、危険なキスを繰り返した。
〜了〜
名を、土方十四郎。
黙って立っていれば、誰が見てもレベルの高いイケメンの彼。だが常に咥えタバコで煙を体にまとわりつかせ、食材の全てに常軌を逸した量のマヨネーズをかけてしまうおかしな性質を持っている。時にはまるでスポーツドリンクか何かのように、喉を鳴らしてマヨネーズを飲むのだから、女達も自然と遠巻きに眺めるだけになっていた。
私もそれを初めて見た時は、さすがに驚いたけれど。ここまで振り切った姿を見せられると、むしろ見ていて気持ちが良かった。
最初は敵の情報を集めるために観察していただけだったのに。いつしか興味を持ってしまい、そこから好意へと発展してしまったと言うわけだ。
「マヨ四郎くん、今日も遊ぼっか」
「だ〜れがマヨ四郎だ! さっさと捕縛されろっての」
彼に会いたくなる度に、からかいに行く。
「テメェ詩織……待ちやがれッ!」
瞳孔全開で私を追いかけてくる彼に捕まらないよう、付かず離れずで逃げるのは本当に楽しくて。しかも彼の目には私しか映っていないのだから、独占欲まで満たされた。
「鬼さんこちら。手のなる方へ……っと」
今日もまたいつものように、二人きりの鬼ごっこを楽しむ。
できるだけ人の少ない路地を選びながら、足音の聞こえる距離で逃げ回っているとーー突如猫が足元に飛び出てきた。勢いで踏んでしまいそうになり、慌てて避けようとした私は、バランスを崩してしまう。
「……ッ!」
咄嗟に手を出したものの間に合わない。ドサリと地面に倒れた私は、強く肩を打ってしまった。さすがに痛みで動けず、ハッとした時にはもう、彼が目の前に立っていて。
「手こずらせやがって」
逃げようとした私の腕を、彼がしっかりと掴んだ。
「ようやく捕まえたぜ」
そう言って私を見下ろす彼の目は、まるで狼のように鋭く冷たい。だがそこには敵を捉えた喜びも含まれているように思えた。
「もう、やだなぁ。そんなに私を手元に置いておきたいの?」
「ふざけんな。とにかくもう逃がさねェからな」
「せっかくの二枚目さんなのに、そんな怖い顔してたら女の子にモテないぞ」
「モテようなんざ思っちゃいねェよ。無駄口叩いてねェで、さっさと来い」
何を言っても隙を見せない彼に、さすがの私も困ってしまう。確かに彼に興味はあれど、牢での逢瀬は望んでいない。
そこで私は一計を案じた。
「無駄口じゃないもん。好意だもん」
「あァ? 話が見えねーんだが」
眉間にシワを寄せ、呆れたように言う彼は、本当に分かっていないようだ。少し考えれば分かりそうなものだけどなぁ。何かしらの思いがなかったら、わざわざ危険を顧みず、敵の懐になんて入らない。
「つまりね、貴方が好きだって事」
「……はァ!?」
私の突然の告白に動揺したのか、彼の手の力が緩む。その瞬間を見逃さずに腕を抜けば、見事脱出に成功した。
少しだけ距離を取った私は、彼の捕縛から抜け出せた余裕から、得意げに言う。
「警察と攘夷浪士だなんて、いけない恋だよね〜。とんでもない火遊びだわ」
「ふざけんな! 俺は……」
「違うって言い切れる? いつだって私を見つけたら、人払いまでして自分一人で追いかけてるのに」
「それは、テメェ一人に人数を割く必要がねェから……」
「……ほんとにそうかなぁ?」
自由になった体で彼の懐に入り込んだ私は、ズイと彼に顔を寄せた。
「私への気持ち、全然無いって言い切れる?」
吐息のかかるギリギリの距離で彼を見つめる。でも、答えは返ってこない。だからーー。
彼の下唇をそっと食み、強引に答えを引き出そうとした。
触れた唇は想像以上に熱くて、思わず吐息が漏れる。そんな私に、彼は言った。
「俺は火遊びをする気はねェよ。いつだって真剣だ」
「……だから?」
「敵である真選組の副長に、キスしちまうようなやべェ女、野放しになんざできねェだろうが」
いつの間にか回されていた彼の腕が、私の腰を強く引き寄せる。逃れることを許さずに重ねられた唇は、やっぱり熱くて。
「……火傷しそう」
「骨の髄まで燃やしてやるよ」
そう言った彼は、私の全てを燃やし尽くす程に熱い、危険なキスを繰り返した。
〜了〜
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