未だ誰も知らない君を(銀時)
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攘夷戦争の最中。男勝りに戦う私を、周りの者は誰一人女扱いしなかった。
お陰で気楽ではあったけれど、束の間の休息の時間、男たちが求める女の煌びやかさを目にして、少しだけ胸を痛めていた事は秘密だ。
今宵も男たちは、女の元へと足を運ぶ。
私は一人陣屋に残り、すぐ側に流れる川へとやって来ていた。
戦場では命取りになる為、決して下ろす事の無い束ねた髪を解く。衣服を脱いでゆっくり川に入ると、その冷たさに少しだけ体が震えた。
「ふふ、冷たいの」
何だかちょっぴり楽しくなり、思わずはしゃいでしまう。少しずつ体を沈める事でその冷たさに慣れた頃、誰もいないからと体を水に浮かせ、月を仰ぎ見た。
「今夜は凄く月がキレイだなぁ。兎さんもはっきり見えてるし」
空に浮かんでいるのは満月。雲に邪魔をされる事無く鮮明に見えている月の表面では、兎が楽しそうに餅つきをしているのがはっきりと見て取れた。
「ああやってずっと餅つきをしてるけど、飽きないのかなぁ……なんちゃって」
一人冗談を交えながら水をかきつつゆらゆらと水に浮かんでいると、不意に感じた人の気配。
「誰だっ!?」
慌てて川から上がって岩場に隠れ、気配の出所を探る。すると、すぐ近くの草むらがカサカサと揺れた。
「悪ィ。覗き見するつもりは無かったんだけどよ」
「白夜叉……お前、アイツらと一緒に出掛けたんじゃ……」
姿を現したのは、攘夷志士仲間であり、我々のリーダー的存在である白夜叉、坂田銀時だった。
「男にも色々と事情はあんのよ。ま、詩織は気にせず水浴びしててくれや」
そう言った白夜叉は、何故かその場にドカリと座り込む。しかもよく見ればそこは、私が脱いだ服の真横だ。さすがにこの状況はいただけないと、岩の陰から様子を伺いつつ言った。
「何でそこに座り込む? 休むなら陣屋に戻れ」
「俺がどこで休もうと勝手だろ? 何か問題でもあんのかよ」
「大ありだ。そこに私の服があるのが見えないのか?」
「見えてるに決まってんだろ。銀さん目ェ良いし」
「だったら別の場所に……」
「行かねェよ」
「ちょっ……白夜叉、何を……っ!」
思わず慌ててしまったのは、白夜叉が私の服を手に取ったから。しかもこちらに見せつけるように持ち上げ、ニヤニヤと笑っている。
「いつ何時敵が襲ってくるかもしんねーし? 白夜叉様がちゃんと見守っててやるから、詩織は安心して水浴びしてろよ」
その姿があまりにも楽しそうで、私は戸惑い以上に苛立ちが隠せなくなった。
「一体何が目的だ? 自分の身は自分で守れるから、服を置いてさっさと消えろ!」
そう言いながら私は、白夜叉から視線を外して足元を見る。手頃な石を見つけて拾い、いざとなったらこの石で牽制して衣服を奪い返そうと、改めて白夜叉に視線を戻した時――。
「いない!?」
先ほどの場所には私の服だけで、白夜叉の姿は無かった。
「この一瞬でどこに……?」
辺りを見回すも、やはり姿は無い。が、これはチャンスと私は走った。
服を掴んで改めて周りの気配を確認したのだが、この時になってようやく私は、白夜叉がここにいた意味に気付く。
「本当に……守ってくれてたんだ……」
数秒後、再びカサカサと草を揺らしながら現れた白夜叉の白い着物には、先ほどは無かった赤いシミが点々と付着していた。
お陰で気楽ではあったけれど、束の間の休息の時間、男たちが求める女の煌びやかさを目にして、少しだけ胸を痛めていた事は秘密だ。
今宵も男たちは、女の元へと足を運ぶ。
私は一人陣屋に残り、すぐ側に流れる川へとやって来ていた。
戦場では命取りになる為、決して下ろす事の無い束ねた髪を解く。衣服を脱いでゆっくり川に入ると、その冷たさに少しだけ体が震えた。
「ふふ、冷たいの」
何だかちょっぴり楽しくなり、思わずはしゃいでしまう。少しずつ体を沈める事でその冷たさに慣れた頃、誰もいないからと体を水に浮かせ、月を仰ぎ見た。
「今夜は凄く月がキレイだなぁ。兎さんもはっきり見えてるし」
空に浮かんでいるのは満月。雲に邪魔をされる事無く鮮明に見えている月の表面では、兎が楽しそうに餅つきをしているのがはっきりと見て取れた。
「ああやってずっと餅つきをしてるけど、飽きないのかなぁ……なんちゃって」
一人冗談を交えながら水をかきつつゆらゆらと水に浮かんでいると、不意に感じた人の気配。
「誰だっ!?」
慌てて川から上がって岩場に隠れ、気配の出所を探る。すると、すぐ近くの草むらがカサカサと揺れた。
「悪ィ。覗き見するつもりは無かったんだけどよ」
「白夜叉……お前、アイツらと一緒に出掛けたんじゃ……」
姿を現したのは、攘夷志士仲間であり、我々のリーダー的存在である白夜叉、坂田銀時だった。
「男にも色々と事情はあんのよ。ま、詩織は気にせず水浴びしててくれや」
そう言った白夜叉は、何故かその場にドカリと座り込む。しかもよく見ればそこは、私が脱いだ服の真横だ。さすがにこの状況はいただけないと、岩の陰から様子を伺いつつ言った。
「何でそこに座り込む? 休むなら陣屋に戻れ」
「俺がどこで休もうと勝手だろ? 何か問題でもあんのかよ」
「大ありだ。そこに私の服があるのが見えないのか?」
「見えてるに決まってんだろ。銀さん目ェ良いし」
「だったら別の場所に……」
「行かねェよ」
「ちょっ……白夜叉、何を……っ!」
思わず慌ててしまったのは、白夜叉が私の服を手に取ったから。しかもこちらに見せつけるように持ち上げ、ニヤニヤと笑っている。
「いつ何時敵が襲ってくるかもしんねーし? 白夜叉様がちゃんと見守っててやるから、詩織は安心して水浴びしてろよ」
その姿があまりにも楽しそうで、私は戸惑い以上に苛立ちが隠せなくなった。
「一体何が目的だ? 自分の身は自分で守れるから、服を置いてさっさと消えろ!」
そう言いながら私は、白夜叉から視線を外して足元を見る。手頃な石を見つけて拾い、いざとなったらこの石で牽制して衣服を奪い返そうと、改めて白夜叉に視線を戻した時――。
「いない!?」
先ほどの場所には私の服だけで、白夜叉の姿は無かった。
「この一瞬でどこに……?」
辺りを見回すも、やはり姿は無い。が、これはチャンスと私は走った。
服を掴んで改めて周りの気配を確認したのだが、この時になってようやく私は、白夜叉がここにいた意味に気付く。
「本当に……守ってくれてたんだ……」
数秒後、再びカサカサと草を揺らしながら現れた白夜叉の白い着物には、先ほどは無かった赤いシミが点々と付着していた。
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