ただ貴方を感じたい(銀時)
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「何か食うもんある?」
それが、開口一番に聞こえた言葉。
ずっと姿をくらましていたくせに、他に言う事はないのかと思いながらも、私は無言でキッチンに向かう。
2年、だ。
2年もの間、全く連絡もよこさず、生きているのかすら分からない状況で、私は彼……銀時を待ち続けていた。
「はい、宇治銀時丼」
「分かってるねェ、さすが詩織ちゃん」
長い間、誰も座る事のなかったダイニングの椅子へと勝手に座った銀時は、嬉しそうに丼を掴む。ワシワシと口にかっ込んでいく姿は、あの頃と変わってはいないのに、何かが違うと感じていた。
「今までどこにいたのよ」
落ち着いたのか、満足げにお茶を飲む銀時に尋ねる。何かを考え込むように遠くを見つめた銀時は、小さく微笑みながら言った。
「どこだろうな。もう自分でも分かんねェや。それこそ日本全国津々浦々ってやつだな」
「何よそれ。だったら連絡の一つくらい寄越しなさいよね。お登勢さんたちだって心配してたのよ」
「……悪ィ」
心底済まなそうに言った銀時は、やはり以前と何かが違って見えた。
「それで? やりたかった事は全部できたの?」
なんとなく沈黙を避けたくて、再び疑問を投げかける。すると何故か立ち上がり、私を抱きしめた。
「……どうしたのよ、何があったの?」
久しぶりに触れた彼の体は、最後に抱きしめられた時よりも少しだけ細く、引き締まっている。よほど体に負担をかける生活をしていたんだろうなと想像しながら、私は銀時の答えを待った。
「……ただいま、詩織」
「はい? お帰りなさい」
脈絡のない挨拶に戸惑いながらも、以前と同じように返事をすれば、抱きしめる力が強くなる。
「ちょっと銀時! 苦しいってば!」
私が必死にもがいても、銀時は離そうとはしない。
「銀時ってば! 苦しいから離し……」
「会いたかった」
「え?」
「詩織んトコに帰りたかった」
「なんのこっちゃ。だったらさっさと帰って来れば良かったじゃない」
「……そうだな」
何を言ってるんだと首を傾げれば、苦笑しながら私に口付けてくる銀時。
「もう新しい男でもできたか、愛想尽かされてるかと思ってた」
「何よそれ、バカバカしい」
「お前、結構いい女だしな」
「そこは否定しない」
瞼に、頬に……唇に。
それはまるで、会えなかった時間を今ここで埋めるかのようなキス。
「帰ってきて……良かったんだよな?」
揺らぐ眼差しと共に投げかけられた言葉が、私の心を揺さぶった。
そっと銀時の後頭部に手を回し、胸元へと引き寄せる。銀時の唇の熱を鎖骨に感じながら、私は言った。
「ただ貴方を感じたい。今も昔も、私の答えはそれだけよ」
「詩織……」
もう、言葉はいらない。
そのまま誰よりも近くに銀時を感じながら、私は銀時の心に寄り添った。
〜了〜
それが、開口一番に聞こえた言葉。
ずっと姿をくらましていたくせに、他に言う事はないのかと思いながらも、私は無言でキッチンに向かう。
2年、だ。
2年もの間、全く連絡もよこさず、生きているのかすら分からない状況で、私は彼……銀時を待ち続けていた。
「はい、宇治銀時丼」
「分かってるねェ、さすが詩織ちゃん」
長い間、誰も座る事のなかったダイニングの椅子へと勝手に座った銀時は、嬉しそうに丼を掴む。ワシワシと口にかっ込んでいく姿は、あの頃と変わってはいないのに、何かが違うと感じていた。
「今までどこにいたのよ」
落ち着いたのか、満足げにお茶を飲む銀時に尋ねる。何かを考え込むように遠くを見つめた銀時は、小さく微笑みながら言った。
「どこだろうな。もう自分でも分かんねェや。それこそ日本全国津々浦々ってやつだな」
「何よそれ。だったら連絡の一つくらい寄越しなさいよね。お登勢さんたちだって心配してたのよ」
「……悪ィ」
心底済まなそうに言った銀時は、やはり以前と何かが違って見えた。
「それで? やりたかった事は全部できたの?」
なんとなく沈黙を避けたくて、再び疑問を投げかける。すると何故か立ち上がり、私を抱きしめた。
「……どうしたのよ、何があったの?」
久しぶりに触れた彼の体は、最後に抱きしめられた時よりも少しだけ細く、引き締まっている。よほど体に負担をかける生活をしていたんだろうなと想像しながら、私は銀時の答えを待った。
「……ただいま、詩織」
「はい? お帰りなさい」
脈絡のない挨拶に戸惑いながらも、以前と同じように返事をすれば、抱きしめる力が強くなる。
「ちょっと銀時! 苦しいってば!」
私が必死にもがいても、銀時は離そうとはしない。
「銀時ってば! 苦しいから離し……」
「会いたかった」
「え?」
「詩織んトコに帰りたかった」
「なんのこっちゃ。だったらさっさと帰って来れば良かったじゃない」
「……そうだな」
何を言ってるんだと首を傾げれば、苦笑しながら私に口付けてくる銀時。
「もう新しい男でもできたか、愛想尽かされてるかと思ってた」
「何よそれ、バカバカしい」
「お前、結構いい女だしな」
「そこは否定しない」
瞼に、頬に……唇に。
それはまるで、会えなかった時間を今ここで埋めるかのようなキス。
「帰ってきて……良かったんだよな?」
揺らぐ眼差しと共に投げかけられた言葉が、私の心を揺さぶった。
そっと銀時の後頭部に手を回し、胸元へと引き寄せる。銀時の唇の熱を鎖骨に感じながら、私は言った。
「ただ貴方を感じたい。今も昔も、私の答えはそれだけよ」
「詩織……」
もう、言葉はいらない。
そのまま誰よりも近くに銀時を感じながら、私は銀時の心に寄り添った。
〜了〜
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