cigarette love(土方)
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【香り、仄かに】
いつだって最初にその存在を感じるのはタバコ。彼の愛用品の臭いは、どこに居ても分かるようになってしまった。
正直タバコは好きじゃない。燻らせた紫煙も、吐き出された煙だって不快でしかなかった。
それなのに、何で私はあんなヘビースモーカーを気にかけてしまうのだろう。自分でも不思議でならない。
今日もまた、通りすがりに彼の存在を感じる。香り、仄かに鼻腔をくすぐるマヨボロは、彼がついさっきまでこの場所にいたのだという証だ。
「タバコなんておっさん臭いだけなのに」
眉間にしわを寄せて私が言うと、不意に後ろからかけられた声。
「悪かったな、おっさんで」
「……副長」
いつもと変わらずタバコを咥え、不機嫌そうに立っている副長は、結構本気でご機嫌斜めのようだ。
「聞いてたんですか?」
「聞こえたんだよ。ったく、皆してタバコを目の敵にしやがって」
眉間にしわを寄せながらも、決して口からタバコは離さない。呆れて小さくため息を吐いた私は、つかつかと副長に歩み寄ると、口元からタバコを奪い取った。
「おい、何すんだよ!」
怒る副長を物ともせず、そのタバコを地面に落として踏み消す。
「詩織、てめェ……っ!」
「目の敵にして当然じゃないですか」
そう言った私は素早く副長の懐に入り込むと、間近に顔を見上げた。私の行動が予想外だったからか、副長のこめかみがピクリと動いたが、完全には表情を崩さないあたりはさすがだ。
「タバコなんて百害あって一利なし、ですからね」
更に顔を近づけようと、背伸びをする。
「副長のお身体を心配してるんです。それにーー」
そのままそっと唇を重ねると、驚きで副長の目が見開かれた。
「な……っおま、えェッ!?」
私の言葉と行動に言葉が見つからないのか、口をパクパクとさせて固まっている副長。
そんな副長に向けて、私は照れ隠しの笑顔を向けながら言った。
「タバコを咥えたままじゃ、キスもできないでしょう?」
〜了〜
いつだって最初にその存在を感じるのはタバコ。彼の愛用品の臭いは、どこに居ても分かるようになってしまった。
正直タバコは好きじゃない。燻らせた紫煙も、吐き出された煙だって不快でしかなかった。
それなのに、何で私はあんなヘビースモーカーを気にかけてしまうのだろう。自分でも不思議でならない。
今日もまた、通りすがりに彼の存在を感じる。香り、仄かに鼻腔をくすぐるマヨボロは、彼がついさっきまでこの場所にいたのだという証だ。
「タバコなんておっさん臭いだけなのに」
眉間にしわを寄せて私が言うと、不意に後ろからかけられた声。
「悪かったな、おっさんで」
「……副長」
いつもと変わらずタバコを咥え、不機嫌そうに立っている副長は、結構本気でご機嫌斜めのようだ。
「聞いてたんですか?」
「聞こえたんだよ。ったく、皆してタバコを目の敵にしやがって」
眉間にしわを寄せながらも、決して口からタバコは離さない。呆れて小さくため息を吐いた私は、つかつかと副長に歩み寄ると、口元からタバコを奪い取った。
「おい、何すんだよ!」
怒る副長を物ともせず、そのタバコを地面に落として踏み消す。
「詩織、てめェ……っ!」
「目の敵にして当然じゃないですか」
そう言った私は素早く副長の懐に入り込むと、間近に顔を見上げた。私の行動が予想外だったからか、副長のこめかみがピクリと動いたが、完全には表情を崩さないあたりはさすがだ。
「タバコなんて百害あって一利なし、ですからね」
更に顔を近づけようと、背伸びをする。
「副長のお身体を心配してるんです。それにーー」
そのままそっと唇を重ねると、驚きで副長の目が見開かれた。
「な……っおま、えェッ!?」
私の言葉と行動に言葉が見つからないのか、口をパクパクとさせて固まっている副長。
そんな副長に向けて、私は照れ隠しの笑顔を向けながら言った。
「タバコを咥えたままじゃ、キスもできないでしょう?」
〜了〜
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