突然の雨と満面の笑み(銀時)
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地下鉄を降りて地上に出ると、雨が降っていた。
「しまった……傘、持ってきて無いや」
空を見上げると分厚い雨雲が一面を覆っていて、暫くは止みそうに無い。コンビニに行けば傘は売っているだろうけれど、あいにく駅からは少し離れた所にあり、結局は濡れてしまう事になる。
「こうなったら家まで走るっきゃないか」
そう覚悟を決め、足を踏み出そうとした時ーー。
「どんくせー奴が雨ん中走ったら転んじまうぞ」
失礼な言葉と共に、差し掛けられた傘。振り向くとそこには銀さんが立っていた。
「ちょっと、その言い方って酷くない?」
「ホントの事じゃねーか。詩織がまともに走れてる姿なんて、見た事ねェんだけど」
「……うるさいわねっ!」
頬を膨らませて怒った私に、銀さんが笑う。
憂鬱な突然の雨と満面の笑みはとてもアンバランスで、私の心を戸惑わせた。
「ほら、行くぞ。銀さんとの相合傘は高くつくかんな」
「冗談。銀さんこそ、私と並んで歩ける事に感謝しなさいよ!」
照れ臭さを隠して言った私に、銀さんは「へーへー」と答え、ゆっくりと歩き始める。
さりげなく傘を私の方に傾けた銀さんは、途中何度も憎まれ口を叩きながらも、私の歩調に合わせて家の前まで送ってくれた。
そんな銀さんが、
「そんじゃ相合傘のお礼、もらってくわ」
と言ってかすめていった唇は、雨で冷えた体とは対照的にとても熱くて。
彼の姿が見えなくなっても、私の心をざわつかせていた。
〜了〜
「しまった……傘、持ってきて無いや」
空を見上げると分厚い雨雲が一面を覆っていて、暫くは止みそうに無い。コンビニに行けば傘は売っているだろうけれど、あいにく駅からは少し離れた所にあり、結局は濡れてしまう事になる。
「こうなったら家まで走るっきゃないか」
そう覚悟を決め、足を踏み出そうとした時ーー。
「どんくせー奴が雨ん中走ったら転んじまうぞ」
失礼な言葉と共に、差し掛けられた傘。振り向くとそこには銀さんが立っていた。
「ちょっと、その言い方って酷くない?」
「ホントの事じゃねーか。詩織がまともに走れてる姿なんて、見た事ねェんだけど」
「……うるさいわねっ!」
頬を膨らませて怒った私に、銀さんが笑う。
憂鬱な突然の雨と満面の笑みはとてもアンバランスで、私の心を戸惑わせた。
「ほら、行くぞ。銀さんとの相合傘は高くつくかんな」
「冗談。銀さんこそ、私と並んで歩ける事に感謝しなさいよ!」
照れ臭さを隠して言った私に、銀さんは「へーへー」と答え、ゆっくりと歩き始める。
さりげなく傘を私の方に傾けた銀さんは、途中何度も憎まれ口を叩きながらも、私の歩調に合わせて家の前まで送ってくれた。
そんな銀さんが、
「そんじゃ相合傘のお礼、もらってくわ」
と言ってかすめていった唇は、雨で冷えた体とは対照的にとても熱くて。
彼の姿が見えなくなっても、私の心をざわつかせていた。
〜了〜
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