焦がした玉子焼き(銀時)
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今朝からどうも体調が優れないとは思っていた。体はだるいし、何をやっても上手くいかない。しかも、だ。
「……お妙に弟子入りでもしたのか?」
銀時が、お皿の上の物体を見ながら言う。表面の黒い焦げた玉子焼きは、銀時が突くとパリパリと音を立てた。
「ごめんね。これが最後の卵だったんだけど、失敗しちゃって」
「お前にしちゃ珍しいな。なんかあったのか?」
「そういうわけじゃ無いんだけど……まあたまには私だって失敗くらいするよ。悪いけど表面を剥がしながら食べてくれる? お詫びにデザートを準備するからね」
体調が悪いなんて言えないから。私は笑顔を見せながら銀時に答えると、台所に戻った。
「さて、と。デザート用にいちごでも切りますか」
冷蔵庫からパックを出し、洗って包丁を入れようとした時。
「……あれ?」
グラリと視界が揺れる。咄嗟に包丁を手放してカウンターに寄りかかったけれど、足の力が入らずにズルズルと床に頽れる形となった。
「おい、詩織っ!」
何かを察したのか、慌てて駆け込んできた銀時が私を抱き上げる。今自分が見ているのが天井だと理解するまでに数秒の時間を必要とするほど、私の意識はふわついていた。
「ったく、体調が悪いなら言えってんだよ」
「……ごめん……」
お説教されつつも、奥の部屋へとお姫様抱っこで運ばれる途中、ふと目に入ったテーブルの上。そこには未だ食べかけの食事が置かれてはいたものの、あの焦がした玉子焼きの姿は無かった。
「ねえ、ひょっとして玉子……」
「ああ? あんなもん、さっさと食っちまったに決まってんだろ」
「でも……」
お皿の上には何も乗っておらず、お焦げを避けた形跡すらない。
「まさかお焦げまで全部?」
「お前が作ったモンを残すはずねェだろ。それよかまずは体調を整えろ。これ以上ダークマターを生産されたらたまんねーからな」
「……うん」
私をそっと布団におろした銀時は、「暫く寝とけ」の言葉と共に、私の額に口付ける。
その優しさに安心したのか、不意に睡魔が襲ってきた。
「ごめんね……ありがとう」
猛烈な眠気と戦いながら、かろうじて口にした私の言葉を聞いた銀時は、少し意地悪く微笑みながら言う。
「気にすんな。その代わり元気になったら、きちんとデザートを準備してもらうぜ。玉子と同じように、全部食ってやるからな」
今度は唇に落とされたキスは、ほんの少しだけヒンヤリと感じられ、自分の熱が高い事に気付かされた。だからこそ、口にできた事。
「うん、私も銀時に食べて欲しい」
「……っ! 今言った事忘れんなよ!」
顔を真っ赤にしながら慌てて部屋を出ていく銀時の後ろ姿を、ボンヤリとした頭のままで見送った私は、そのままスゥッと眠りに落ちていった。
その数時間後、スッキリと元気に目覚めたはずの私が、部屋はおろか、布団からも出る事無く再び起き上がれなくなってしまった理由はーー。
「……もう、ダークマターすら作れないんですけど!」
「いいんじゃねーの? 銀さん、詩織のお陰で腹一杯だし」
ご想像にお任せ、と言う事で。
〜了〜
「……お妙に弟子入りでもしたのか?」
銀時が、お皿の上の物体を見ながら言う。表面の黒い焦げた玉子焼きは、銀時が突くとパリパリと音を立てた。
「ごめんね。これが最後の卵だったんだけど、失敗しちゃって」
「お前にしちゃ珍しいな。なんかあったのか?」
「そういうわけじゃ無いんだけど……まあたまには私だって失敗くらいするよ。悪いけど表面を剥がしながら食べてくれる? お詫びにデザートを準備するからね」
体調が悪いなんて言えないから。私は笑顔を見せながら銀時に答えると、台所に戻った。
「さて、と。デザート用にいちごでも切りますか」
冷蔵庫からパックを出し、洗って包丁を入れようとした時。
「……あれ?」
グラリと視界が揺れる。咄嗟に包丁を手放してカウンターに寄りかかったけれど、足の力が入らずにズルズルと床に頽れる形となった。
「おい、詩織っ!」
何かを察したのか、慌てて駆け込んできた銀時が私を抱き上げる。今自分が見ているのが天井だと理解するまでに数秒の時間を必要とするほど、私の意識はふわついていた。
「ったく、体調が悪いなら言えってんだよ」
「……ごめん……」
お説教されつつも、奥の部屋へとお姫様抱っこで運ばれる途中、ふと目に入ったテーブルの上。そこには未だ食べかけの食事が置かれてはいたものの、あの焦がした玉子焼きの姿は無かった。
「ねえ、ひょっとして玉子……」
「ああ? あんなもん、さっさと食っちまったに決まってんだろ」
「でも……」
お皿の上には何も乗っておらず、お焦げを避けた形跡すらない。
「まさかお焦げまで全部?」
「お前が作ったモンを残すはずねェだろ。それよかまずは体調を整えろ。これ以上ダークマターを生産されたらたまんねーからな」
「……うん」
私をそっと布団におろした銀時は、「暫く寝とけ」の言葉と共に、私の額に口付ける。
その優しさに安心したのか、不意に睡魔が襲ってきた。
「ごめんね……ありがとう」
猛烈な眠気と戦いながら、かろうじて口にした私の言葉を聞いた銀時は、少し意地悪く微笑みながら言う。
「気にすんな。その代わり元気になったら、きちんとデザートを準備してもらうぜ。玉子と同じように、全部食ってやるからな」
今度は唇に落とされたキスは、ほんの少しだけヒンヤリと感じられ、自分の熱が高い事に気付かされた。だからこそ、口にできた事。
「うん、私も銀時に食べて欲しい」
「……っ! 今言った事忘れんなよ!」
顔を真っ赤にしながら慌てて部屋を出ていく銀時の後ろ姿を、ボンヤリとした頭のままで見送った私は、そのままスゥッと眠りに落ちていった。
その数時間後、スッキリと元気に目覚めたはずの私が、部屋はおろか、布団からも出る事無く再び起き上がれなくなってしまった理由はーー。
「……もう、ダークマターすら作れないんですけど!」
「いいんじゃねーの? 銀さん、詩織のお陰で腹一杯だし」
ご想像にお任せ、と言う事で。
〜了〜
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