一欠片のキス(銀時)
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公園のベンチで一人佇んでいると、偶然銀時が通りかかった。
「あれェ? 詩織じゃねェの。な〜に一人で黄昏ちゃってるわけ?」
ニヤニヤとした笑顔を浮かべながら近付いてくる銀時は、今の私には少し煩わしい。
「別に。ちょっと休憩してただけよ」
「その割には、暗い顔じゃねェの。何かあったんなら、銀さんが聞いてやんぜ」
「結構です。じゃ、もう帰るから」
いつもなら軽く受け流せるのに、今日の私は何故か我慢できなくて、冷たくあしらってしまう。
そんな私の態度に驚いたのか、銀時は一瞬目を丸くしたが、すぐに大きく溜息を吐くと、持っていた袋をベンチに放り投げて私の頭をクシャクシャとかき混ぜた。
「やだ、何すんのよ!」
「おっ? 怖いねェ」
「ふざけないでよ!」
「そーそー、もっと怒れよ」
「はぁ!? 怒れって何? バカにしてるの?」
「バカになんてしてねーよ」
「じゃあ何なのよ! 人が悩んでるってのに、からかってるわけ?」
「んなわけねーだろ」
「だったら何!」
怒りを露わにしながら叫んだ私に、銀時は言った。
「そんだけ怒れるなら大丈夫そーだな。少しは発散できたか? さっきのお前、今にも死にそーな面してたからよ」
「死にそうって……そんなはずないでしょ。私はちょっと仕事の事を考えてただけで……」
「そのちょっとって奴に追い詰められてんだろ。また一人で抱え込んでんじゃねーのか?」
たった今まで頭をクシャクシャにかき混ぜていた手が、今度はポンポンと頭を叩く。そのままゆっくりと撫でるように後頭部へと移動すると、優しく銀時の腕の中へと引き寄せられた。
「お前さァ、少しは周りに頼っても良いんじゃねーの? やればできる子だからって、全部を一人でこなす必要はねーだろうし、時には誰かに甘えちまえ」
「銀時……」
銀時の胸に押し付けられた額から、彼の熱と鼓動が伝わってくる。それはとても温かくて優しい、心安らぐものだった。
仕事に悩んでいた事を忘れてしまいそうになるくらい、彼の腕の中は心地良くて、自然と頬が緩む。
「普段はいい加減な癖に、ホントこういう時だけは勘が働くよね」
「だけって何だよ……で? どうして欲しいか言ってみな」
「そうだなぁ……甘い物が食べたい」
「って、お前の甘えはそっち方面かよ!」
「え? ダメだった?」
額を離して銀時を見上げると、唇を突き出してブスッとした顔を見せている。
本当は銀時の言いたい事は分かっているんだけれど、今は彼からの甘やかしが欲しくて、わざと気付かないフリをした。
「ったく、仕方ねェな……」
そんな私の思いに気付いたのか、大きく溜息を吐いた銀時は、ベンチの袋に手を伸ばす。そして中から板チョコを取り出すと、徐に開封した。
「銀時……?」
「俺の大事な糖分、一欠片だけ分けてやるよ」
チョコを割り、予告通り一欠片を摘んだ銀時は「倍の甘さにして、な」と言って自らの口に含み、すかさず私に唇を重ねる。二人の熱で蕩けたチョコは、今まで口にしたどのチョコよりも甘くて。
「……ねぇ銀時。一欠片じゃ足んない」
「へーへー、甘えんぼ詩織様の仰せのままに」
再び触れた唇にチョコは無かったけれど。
痺れるほどに甘い銀時のキスは、私の心を存分に蕩かせた。
〜了〜
「あれェ? 詩織じゃねェの。な〜に一人で黄昏ちゃってるわけ?」
ニヤニヤとした笑顔を浮かべながら近付いてくる銀時は、今の私には少し煩わしい。
「別に。ちょっと休憩してただけよ」
「その割には、暗い顔じゃねェの。何かあったんなら、銀さんが聞いてやんぜ」
「結構です。じゃ、もう帰るから」
いつもなら軽く受け流せるのに、今日の私は何故か我慢できなくて、冷たくあしらってしまう。
そんな私の態度に驚いたのか、銀時は一瞬目を丸くしたが、すぐに大きく溜息を吐くと、持っていた袋をベンチに放り投げて私の頭をクシャクシャとかき混ぜた。
「やだ、何すんのよ!」
「おっ? 怖いねェ」
「ふざけないでよ!」
「そーそー、もっと怒れよ」
「はぁ!? 怒れって何? バカにしてるの?」
「バカになんてしてねーよ」
「じゃあ何なのよ! 人が悩んでるってのに、からかってるわけ?」
「んなわけねーだろ」
「だったら何!」
怒りを露わにしながら叫んだ私に、銀時は言った。
「そんだけ怒れるなら大丈夫そーだな。少しは発散できたか? さっきのお前、今にも死にそーな面してたからよ」
「死にそうって……そんなはずないでしょ。私はちょっと仕事の事を考えてただけで……」
「そのちょっとって奴に追い詰められてんだろ。また一人で抱え込んでんじゃねーのか?」
たった今まで頭をクシャクシャにかき混ぜていた手が、今度はポンポンと頭を叩く。そのままゆっくりと撫でるように後頭部へと移動すると、優しく銀時の腕の中へと引き寄せられた。
「お前さァ、少しは周りに頼っても良いんじゃねーの? やればできる子だからって、全部を一人でこなす必要はねーだろうし、時には誰かに甘えちまえ」
「銀時……」
銀時の胸に押し付けられた額から、彼の熱と鼓動が伝わってくる。それはとても温かくて優しい、心安らぐものだった。
仕事に悩んでいた事を忘れてしまいそうになるくらい、彼の腕の中は心地良くて、自然と頬が緩む。
「普段はいい加減な癖に、ホントこういう時だけは勘が働くよね」
「だけって何だよ……で? どうして欲しいか言ってみな」
「そうだなぁ……甘い物が食べたい」
「って、お前の甘えはそっち方面かよ!」
「え? ダメだった?」
額を離して銀時を見上げると、唇を突き出してブスッとした顔を見せている。
本当は銀時の言いたい事は分かっているんだけれど、今は彼からの甘やかしが欲しくて、わざと気付かないフリをした。
「ったく、仕方ねェな……」
そんな私の思いに気付いたのか、大きく溜息を吐いた銀時は、ベンチの袋に手を伸ばす。そして中から板チョコを取り出すと、徐に開封した。
「銀時……?」
「俺の大事な糖分、一欠片だけ分けてやるよ」
チョコを割り、予告通り一欠片を摘んだ銀時は「倍の甘さにして、な」と言って自らの口に含み、すかさず私に唇を重ねる。二人の熱で蕩けたチョコは、今まで口にしたどのチョコよりも甘くて。
「……ねぇ銀時。一欠片じゃ足んない」
「へーへー、甘えんぼ詩織様の仰せのままに」
再び触れた唇にチョコは無かったけれど。
痺れるほどに甘い銀時のキスは、私の心を存分に蕩かせた。
〜了〜
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