傍に居させて(銀時)
名前変換はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
スーパーを出て、足早に歩く。
その目的地は、やる気も無ければお金も無い。真剣さも誠実さも持ち合わせていない、無いないづくしの男がいる『万事屋』だ。
「銀さん、入るよ」
答えを待つ事無く中へと入り、リビングのテーブルに大きな買い物袋をガサリと置くと、背もたれの方を向いてソファに横たわる銀さんの顔を覗き込む。予想通り、眉間にしわを寄せて眠っている銀さんを確認した私は、買い物袋の中身をテーブルに広げて懐からハリセンを取り出した。そして──。
「詩織様が来たってのに、起きてお出迎えしないとは何事か~~っ!」
「ッテェェェェッ!」
スパーン! と派手な音を立てて銀さんの頭を叩いたハリセンは、ちょっと強く叩き過ぎたようで曲がってしまっていた。
「天人芸人用のツッコミ素材だから、強度はあるはずなのに……まあいっか」
「いや、良くないからね! お前それ、鉄板か何か入ってねェ!? 銀さん流血してるんですけどッ! 起きるどころかそのまま永眠しちゃいそうなんですけどッッ!」
「そんだけ喋れれば大丈夫よ。すっきり起きられて良かったね」
「そういう問題じゃねェだろッ!……ったく、相変わらず無茶苦茶な奴だな……で? 何しに来たんだ?」
次のコマではすっかり傷が治っている流れで、不満げに大きなあくびをする銀さん。しばし焦点の合わない目でぼんやりテーブルを見ていたけれど、次第に意識がはっきりとしてきたらしく、キラリと瞳が輝いた。
「え? ナニコレ。駄菓子屋でも開店すんの?」
銀さんの目の前にあるのは、スーパーの甘味コーナーでしこたま買い込んできたテーブル一杯のお菓子たち。一口サイズの小さな駄菓子を初め、いつもならあまり手を出さないお高めの物まで選り取り見取りだ。
「残念でした! 今からするのはお菓子パーティーでっす。今日って新八くんと神楽ちゃんはそよ姫様の所でしょ? お城では美味しい物をたくさん出してもらえるって、以前神楽ちゃんに自慢されたのよ。だったらお留守番の銀さんにも、少しくらい贅沢させてあげようかなと思ってね。ちなみにカロ〇ミットの錠剤も準備してありまっす。一応気になるお年頃だもん」
「詩織さん有能過ぎッ!」
「でっしょぉ? ってなわけで、早速食べよ。あ、でもその前に錠剤飲んどいてね」
「はいよ」
眠気はもう完全に吹っ飛んでしまったようで、素早く錠剤を飲んだ銀さんは、嬉々としてお菓子の物色を始める。
「そーそー、コイツが安くて美味いんだよなァ」
「子供のお小遣いで買える、鉄板商品だよね」
「あ、これ、真選組が来客用に置いてた菓子じゃねェか。高いだけあって美味いんだぜ」
「……その口ぶりだと、盗み食いしたな?」
「ちげェよ! 親切心で味見しといてやっただけだっつーの。んな事より初めて見たけど、この菓子美味ェな」
「やっぱり? 銀さんの好きな味だと思ったんだ」
次々と口に放り込んでいく銀さんの顔は、幸せに満ちていた。それを見た私もホッとして、ついついお菓子に手が伸びる。気が付けば買い過ぎたかと思っていたほぼ全量が、私たちのお腹の中に収まっていた。
その目的地は、やる気も無ければお金も無い。真剣さも誠実さも持ち合わせていない、無いないづくしの男がいる『万事屋』だ。
「銀さん、入るよ」
答えを待つ事無く中へと入り、リビングのテーブルに大きな買い物袋をガサリと置くと、背もたれの方を向いてソファに横たわる銀さんの顔を覗き込む。予想通り、眉間にしわを寄せて眠っている銀さんを確認した私は、買い物袋の中身をテーブルに広げて懐からハリセンを取り出した。そして──。
「詩織様が来たってのに、起きてお出迎えしないとは何事か~~っ!」
「ッテェェェェッ!」
スパーン! と派手な音を立てて銀さんの頭を叩いたハリセンは、ちょっと強く叩き過ぎたようで曲がってしまっていた。
「天人芸人用のツッコミ素材だから、強度はあるはずなのに……まあいっか」
「いや、良くないからね! お前それ、鉄板か何か入ってねェ!? 銀さん流血してるんですけどッ! 起きるどころかそのまま永眠しちゃいそうなんですけどッッ!」
「そんだけ喋れれば大丈夫よ。すっきり起きられて良かったね」
「そういう問題じゃねェだろッ!……ったく、相変わらず無茶苦茶な奴だな……で? 何しに来たんだ?」
次のコマではすっかり傷が治っている流れで、不満げに大きなあくびをする銀さん。しばし焦点の合わない目でぼんやりテーブルを見ていたけれど、次第に意識がはっきりとしてきたらしく、キラリと瞳が輝いた。
「え? ナニコレ。駄菓子屋でも開店すんの?」
銀さんの目の前にあるのは、スーパーの甘味コーナーでしこたま買い込んできたテーブル一杯のお菓子たち。一口サイズの小さな駄菓子を初め、いつもならあまり手を出さないお高めの物まで選り取り見取りだ。
「残念でした! 今からするのはお菓子パーティーでっす。今日って新八くんと神楽ちゃんはそよ姫様の所でしょ? お城では美味しい物をたくさん出してもらえるって、以前神楽ちゃんに自慢されたのよ。だったらお留守番の銀さんにも、少しくらい贅沢させてあげようかなと思ってね。ちなみにカロ〇ミットの錠剤も準備してありまっす。一応気になるお年頃だもん」
「詩織さん有能過ぎッ!」
「でっしょぉ? ってなわけで、早速食べよ。あ、でもその前に錠剤飲んどいてね」
「はいよ」
眠気はもう完全に吹っ飛んでしまったようで、素早く錠剤を飲んだ銀さんは、嬉々としてお菓子の物色を始める。
「そーそー、コイツが安くて美味いんだよなァ」
「子供のお小遣いで買える、鉄板商品だよね」
「あ、これ、真選組が来客用に置いてた菓子じゃねェか。高いだけあって美味いんだぜ」
「……その口ぶりだと、盗み食いしたな?」
「ちげェよ! 親切心で味見しといてやっただけだっつーの。んな事より初めて見たけど、この菓子美味ェな」
「やっぱり? 銀さんの好きな味だと思ったんだ」
次々と口に放り込んでいく銀さんの顔は、幸せに満ちていた。それを見た私もホッとして、ついついお菓子に手が伸びる。気が付けば買い過ぎたかと思っていたほぼ全量が、私たちのお腹の中に収まっていた。
1/4ページ