ネクタイを結ぶのって意外と難しい(銀時)
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お登勢の店で仕事の用事を済ませた帰り。何とはなしに上の階の万事屋へと寄った詩織が見たものは、スーツにメガネ姿で洗面所に向かう銀時だった。
「随分と珍しい格好をしてるのね」
いつもだらしなく崩したズンボラジャージ姿しか見ていない詩織が驚きを隠さず言うと、銀時がわざとらしいほどに澄ました顔で、メガネを持ち上げながら答える。
「銀さん、今日は弁護士役だかんね。なかなかサマになってんだろ?」
「サマになってるかはともかくとして、弁護士役って何? 銀さんって弁護士資格とか持ってたっけ?」
「んなもん持ってるわけねーだろ。弁護士役を演じるだけ。これから長谷川さんが詮議にかけられるんだわ。んで、ちょっくら銀さんが助けてやんなきゃいけなくてよ」
「詮議? 長谷川さんってば何やらかしたのよ」
「何ってまァ、一言で言うなら……キン肉バスター?」
「……はい?」
とんでもなくふざけた答えを返され、さすがにムッとした顔を見せる詩織。これ以上聞いたところでまともな返事は帰ってこないだろうと、もうそれ以上長谷川の話を口にしようとはしなかった。
その代わりと言って良いのか、次に詩織が興味を示したのは、銀時が手にしていたネクタイ。
「だったらねぇ銀さん、手に持ってるそのネクタイ、今ちょっとだけ借りちゃダメ?」
「はァ? 何でだよ」
「別に深い意味は無いんだけどさ、一度ネクタイって物を締めてみたかったのよ。私の周りは皆和服だから、ネクタイとは縁が無かったんだもん。だめ?」
そう言ってネクタイを指差す詩織の瞳は、期待に満ちあふれていた。
「いきなり何を言い出すかと思えば、まるでガキのお願いじゃねーか」
別に断る理由も無い銀時は、やれやれとため息を吐きながらネクタイを差し出す。「やったね、ありがと〜」と嬉しそうにそれを受け取った詩織は、早速ネクタイを自分の首にかけると結び始めた。
「確かこんな感じだったよね? テレビで何度か見たから出来ると思うんだけど……あ、あれ?」
出来上がりのイメージを頼りにチャレンジするも、思い通りに仕上がってはくれない。大剣が異常に長すぎたり、結び目の形がいびつだったり、小剣を引いても結び目の位置が上がらなかったりと、あらゆる失敗が続いてしまう。
何度やっても形にならないネクタイに、詩織はもうお手上げだった。
「うーむ、単なる棒状の布に、こんなにも苦戦させられるとは……恐るべしネクタイ。恐るべし毎日この戦いに勝利してるサラリーマン!」
「いや、お前がとんでもなく不器用なだけだからね! っつーか、どんな思考してやがんだよ」
呆れながら言った銀時は、酔っぱらいのサラリーマンが結んだかのようになっているネクタイを正面から解く。そして改めて詩織の首にネクタイをかけてやった。
「良いか? ネクタイってのはこうやって──」
解説をしながら、大剣と小剣の長さを調節してクロスさせる銀時。しかし何を思ったか、言いかけた言葉と共に手を止めた。
「銀さん?」
ネクタイの動きを真剣に見ていた詩織が不思議そうに銀時の顔を見上げる。一方銀時はというと、ネクタイから手を離して詩織の後ろに回り込んだ。
「ちょっと、何で後ろに……」
何を思っての移動なのか理解できず、振り向いて確認しようとした詩織だったが、後ろを向けたのは首から上だけ。体は銀時の腕の中に固定され、背中が銀時の胸に押し付けられる形になっていた。
「随分と珍しい格好をしてるのね」
いつもだらしなく崩したズンボラジャージ姿しか見ていない詩織が驚きを隠さず言うと、銀時がわざとらしいほどに澄ました顔で、メガネを持ち上げながら答える。
「銀さん、今日は弁護士役だかんね。なかなかサマになってんだろ?」
「サマになってるかはともかくとして、弁護士役って何? 銀さんって弁護士資格とか持ってたっけ?」
「んなもん持ってるわけねーだろ。弁護士役を演じるだけ。これから長谷川さんが詮議にかけられるんだわ。んで、ちょっくら銀さんが助けてやんなきゃいけなくてよ」
「詮議? 長谷川さんってば何やらかしたのよ」
「何ってまァ、一言で言うなら……キン肉バスター?」
「……はい?」
とんでもなくふざけた答えを返され、さすがにムッとした顔を見せる詩織。これ以上聞いたところでまともな返事は帰ってこないだろうと、もうそれ以上長谷川の話を口にしようとはしなかった。
その代わりと言って良いのか、次に詩織が興味を示したのは、銀時が手にしていたネクタイ。
「だったらねぇ銀さん、手に持ってるそのネクタイ、今ちょっとだけ借りちゃダメ?」
「はァ? 何でだよ」
「別に深い意味は無いんだけどさ、一度ネクタイって物を締めてみたかったのよ。私の周りは皆和服だから、ネクタイとは縁が無かったんだもん。だめ?」
そう言ってネクタイを指差す詩織の瞳は、期待に満ちあふれていた。
「いきなり何を言い出すかと思えば、まるでガキのお願いじゃねーか」
別に断る理由も無い銀時は、やれやれとため息を吐きながらネクタイを差し出す。「やったね、ありがと〜」と嬉しそうにそれを受け取った詩織は、早速ネクタイを自分の首にかけると結び始めた。
「確かこんな感じだったよね? テレビで何度か見たから出来ると思うんだけど……あ、あれ?」
出来上がりのイメージを頼りにチャレンジするも、思い通りに仕上がってはくれない。大剣が異常に長すぎたり、結び目の形がいびつだったり、小剣を引いても結び目の位置が上がらなかったりと、あらゆる失敗が続いてしまう。
何度やっても形にならないネクタイに、詩織はもうお手上げだった。
「うーむ、単なる棒状の布に、こんなにも苦戦させられるとは……恐るべしネクタイ。恐るべし毎日この戦いに勝利してるサラリーマン!」
「いや、お前がとんでもなく不器用なだけだからね! っつーか、どんな思考してやがんだよ」
呆れながら言った銀時は、酔っぱらいのサラリーマンが結んだかのようになっているネクタイを正面から解く。そして改めて詩織の首にネクタイをかけてやった。
「良いか? ネクタイってのはこうやって──」
解説をしながら、大剣と小剣の長さを調節してクロスさせる銀時。しかし何を思ったか、言いかけた言葉と共に手を止めた。
「銀さん?」
ネクタイの動きを真剣に見ていた詩織が不思議そうに銀時の顔を見上げる。一方銀時はというと、ネクタイから手を離して詩織の後ろに回り込んだ。
「ちょっと、何で後ろに……」
何を思っての移動なのか理解できず、振り向いて確認しようとした詩織だったが、後ろを向けたのは首から上だけ。体は銀時の腕の中に固定され、背中が銀時の胸に押し付けられる形になっていた。
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