特別な君(銀時)
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いつもは私のことなんてかけらも女扱いしてないくせに。あの日、通りすがりのチンピラに絡まれていた私を助けてくれた銀さんは、私を優しく抱きしめてくれた。
初めて感じた温もりは、私の震えをドキドキに変えてたんだよ。
それなのに、
「アイツら何を好んでこんな色気のねー女に絡んだんだか」
なんて失礼なことを言うんだもん。
しかも私の家にほど近いコンビニで、謝礼代わりにといちご牛乳を買わされ。そのまま甘ったるい香りを私の家の前まで運んできたから。
「まさか家の中までついてくる気?」
「んなわけねーだろ。あ、このゴミ捨てといてくんない?」
悪びれもせず空になったパックを投げ渡すと、私の頭をポンポン叩く。
「ちょっと、うちはゴミ捨て場じゃないんだからね!」
「へーへー、分かってますって。そんじゃァな」
そう言ってへらりと締まりのない笑顔を残し、銀さんは帰って行った。
遠のいていく背中を見ながら思ったのは、揶揄われてるのかなってこと。
「期待なんてするだけ無駄だよね」
自分で言った言葉なのに、深く心をえぐられた。
あれから数日が経ち。
いつものように街に出ると、先日の私と同じく、チンピラたちに絡まれている女の子がいた。
助けてあげたいと思いはしても、怖くて近づく勇気が出ず。野次馬に紛れてオロオロしていると、そこに颯爽と銀さんが現れた。
一緒にいた万事屋のメンバーと協力し、あっさりとチンピラたちを追い払ってしまった銀さんは、未だ震えている女の子を近くの店の人に預けて立ち去ろうとする。
「あれ? 傍にいてあげないんだ?」
私の時は落ち着くのを待っていてくれたのに。今日はやけにあっさりしているなと不思議に思ったけれど、まあ女の子は助かったわけだし良いかな、とその場を離れようとした。
その時、ちょうど風下にいた私の耳に聞こえてきた万事屋の声。
「ねぇ銀さん。あの子、家まで送ってあげても良かったんじゃないですか? 未だあんなにも震えてたじゃ無いですか」
「店のやつに頼んどいたし、大丈夫だろ」
「相変わらず冷たい男ネ。だから女の子にモテないアル」
「うるせェな! そういう優しさは特別な女にだけ向けてりゃいーんだよ!」
──特別な女……?
銀さんの言葉に、思わずドキリと心臓が跳ねる。でもすぐに思い直した。
「銀さんが、私を特別だなんて思ってくれるはずないか」
これまでの私への態度を考えれば、答えは自ずと出てくるから。
本当は期待したかったけれど、これ以上傷つきたくなくて。聞こえないフリをしたままその場を立ち去ろうとした。
すると突然聞こえた叫び声。
「俺が優しくできる相手は一人しかいねーから」
驚きで足が止まる。
そのままゆっくり声の出所を探れば、真剣な瞳の銀さんが真っ直ぐに私を見つめていた。
〜了〜
初めて感じた温もりは、私の震えをドキドキに変えてたんだよ。
それなのに、
「アイツら何を好んでこんな色気のねー女に絡んだんだか」
なんて失礼なことを言うんだもん。
しかも私の家にほど近いコンビニで、謝礼代わりにといちご牛乳を買わされ。そのまま甘ったるい香りを私の家の前まで運んできたから。
「まさか家の中までついてくる気?」
「んなわけねーだろ。あ、このゴミ捨てといてくんない?」
悪びれもせず空になったパックを投げ渡すと、私の頭をポンポン叩く。
「ちょっと、うちはゴミ捨て場じゃないんだからね!」
「へーへー、分かってますって。そんじゃァな」
そう言ってへらりと締まりのない笑顔を残し、銀さんは帰って行った。
遠のいていく背中を見ながら思ったのは、揶揄われてるのかなってこと。
「期待なんてするだけ無駄だよね」
自分で言った言葉なのに、深く心をえぐられた。
あれから数日が経ち。
いつものように街に出ると、先日の私と同じく、チンピラたちに絡まれている女の子がいた。
助けてあげたいと思いはしても、怖くて近づく勇気が出ず。野次馬に紛れてオロオロしていると、そこに颯爽と銀さんが現れた。
一緒にいた万事屋のメンバーと協力し、あっさりとチンピラたちを追い払ってしまった銀さんは、未だ震えている女の子を近くの店の人に預けて立ち去ろうとする。
「あれ? 傍にいてあげないんだ?」
私の時は落ち着くのを待っていてくれたのに。今日はやけにあっさりしているなと不思議に思ったけれど、まあ女の子は助かったわけだし良いかな、とその場を離れようとした。
その時、ちょうど風下にいた私の耳に聞こえてきた万事屋の声。
「ねぇ銀さん。あの子、家まで送ってあげても良かったんじゃないですか? 未だあんなにも震えてたじゃ無いですか」
「店のやつに頼んどいたし、大丈夫だろ」
「相変わらず冷たい男ネ。だから女の子にモテないアル」
「うるせェな! そういう優しさは特別な女にだけ向けてりゃいーんだよ!」
──特別な女……?
銀さんの言葉に、思わずドキリと心臓が跳ねる。でもすぐに思い直した。
「銀さんが、私を特別だなんて思ってくれるはずないか」
これまでの私への態度を考えれば、答えは自ずと出てくるから。
本当は期待したかったけれど、これ以上傷つきたくなくて。聞こえないフリをしたままその場を立ち去ろうとした。
すると突然聞こえた叫び声。
「俺が優しくできる相手は一人しかいねーから」
驚きで足が止まる。
そのままゆっくり声の出所を探れば、真剣な瞳の銀さんが真っ直ぐに私を見つめていた。
〜了〜
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